「今よりも10倍結果を出せる人になってください」
そう言われたら、一体どうすればいいのか悩む人は多いだろう。
「今の仕事で成果を10倍にするなんて無理だよ、10%の間違いじゃないか?」――そう思う人もいるはずだ。
それでは何の話も進まない。
なので、ヒントを授けよう。今のままで10倍の結果を出すことは難しい。劇的な変化が必要だ。それは仕組みの問題でもあり、個人のマインドにも大きな転換が要求されるのである。
世界最大のIT企業の一つであるグーグルでは、常にこの「10倍の成果をあげよう」という目標を達成するために、みなが常にどうしたらいいかを考え、実現させているという。
その結果、年間の生産性は従業員1人あたり1,259万円。これは日本企業のパナソニック(300万円)、日立製作所(311万円)の4倍近い生産性を誇ることができている。
Googleで人材開発に携わったピョートル・フェリークス・グジバチ氏が執筆した『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』(SBクリエイティブ刊)では、グーグルの驚異的な“神速”仕事術を公開している。
10倍の成果を生み出すには「ルールを破れ」とは言うが…?
「ブレイキング・ザ・ルールズ」とはよく言うものだが、10倍の結果を達成しようとしたら、それまでと同じことをしてはいけない。自分の中の前提や固定観念を壊すことが求められる。
では、具体的に何をすべきか?
グジバチ氏は何も難しいことは言っていない。例えば上司からの言われた仕事の方法が非効率的だったとする。そのとき別の効率的なやり方を知っているのであれば、率先して進言し、変えてしまえばいい。
ルールを壊せる人は、たいていの場合「プチKY(空気が読めない)」だ。つまり、普段から変わり者として認識されておくことが大事なのである。
いきなり空気が読めないことを言っても、誰もが「何を言い出すんだ?」と意に介さないだろう。しかし自分がそういうキャラクターとして認識されていれば、「この人の視線はある意味正しい部分もあるから考えてみるか」となる。
それは、本書に書かれたグジバチ氏のこの言葉に尽きるだろう。
――周りの協力を得るためにも人間関係や信頼感が大事になる。次のレベルにいくためには、周囲から信頼され、尊重されることが必要なのだ。
(『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』P108より引用)
あなたが10倍の成果を出すためには、周囲のサポートや協力体制が必須だ。しかし、ルールを破ろうとする人をそう簡単にサポートしてくれはしない。だからこそ、信頼や尊重が必須なのである。
今の10倍成果を出せる人の共通点とは?
本書では、「10x」(現状の10倍の成果が出るように考える)で成功する人が意識していることが紹介されている。これらは、グーグルが新入社員に期待する内容でもあるそうだ。自分ができているか照合してみてほしい。
(1)先を予見する
(2)相手の立場になる
(3)見解を明らかにする
(4)空気を読んで空気を壊す
(5)自分から責任を問う
(6)参加する
(7)ハートに耳を傾ける
(8)常識を破る
(9)前向きに失敗する
(10)問いかけを続ける
(11)視点を変える
また、これらの項目の各々には、さらに細分化されているものもある。
例えば「(1)先を予見する」では、「チャンスと脅威」「サイクル、トレンド、パターン」「短期、中期、長期」がある。また、「(11)視点を変える」では、「全体をズームアウト」「裏面」「顧客の視点」など様々な視点があげられている。
この11個の項目はある意味で標語的にも使えるので、メモをして常に自分のそばに置いておくだけでもいいだろう。
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本書は、冒頭から日本人の大好きな「検討」という言葉をぶった切り、意思決定をいかに速くするかということを念頭に置いて、さまざまな仕事術を伝授してくれる。
日本企業の水に慣れてしまっている人にとっては急な変革は難しいかもしれない。それでも今の仕事に対して閉塞感を抱いていたり、何かを変えないといけないと思っているならば、大いに参考になるはずだ。
(新刊JP編集部/金井元貴)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。