この春、進学や就職、転勤などの環境の変化で、住む場所を変えたという人は少なくないだろう。
もし方向感覚に自信がある人ならばこの文章は読まなくてもいいが、地図がまったく読めなかったり、なぜかいつも道に迷って困っているという人はぜひ参考にしてほしい本がある。
それが『地図をグルグル回しても 全然わからない人の 方向オンチ矯正読本』(北村壮一郎著、秀和システム刊)である。
それこそ今はスマホの地図やナビによって、少しは方向オンチが改善されているのかもしれない。
しかし、地図を見てもなんだかよくわからないところ――大きな駅の構内やショッピングモール、カラオケボックスのトイレから部屋への戻り道など――はたくさんある。また、地図を見ても迷ってしまう人もいるだろう。
ではどうしたら方向オンチを改善することができるのか。
本書では、地図は「見る」ものではなく「読む」ものだと指摘する。ただ漠然と見るのではなく、特定の光景を縮尺したものとして捉え、目印となるようなものを収集し、利用するのだ。
そうはいっても「地図を読む」のは難しい。そこで、以下の3つのパート順に分けて考えてみよう。
1.地図を見て、全体の中から、自分が目的地にたどり着くのに必要な情報を抽出する
2.抽出した情報を、頭の中でビジュアル化する
3.目的地にたどり着くまでの行程をシミュレートしたのち、目的地に向かう
ひらたくいえば、地図に書かれている言葉を実際の標識や建造物に置き換え、頭の中でシミュレートするということだ。右折しなければいけない交差点名は、実際に標識がある。その交差点に「マクドナルド」と書かれていれば、マクドナルドがあるはずだ。地図上の道路の広さも置き換えることができる。
ただ、著者の北村氏は、方向オンチについて「治したい人だけ治せばいいんじゃない?」と考えているという。なぜなら、必ずしも全員が困っているわけでもないからだ。
北村氏が出会った方向オンチたちは、陽気な人やポジティブな雰囲気の人が多かったという。結局、迷ってしまった…となったら、開き直って人に聞いてみてもいい。大きな駅内ならインフォメーションカウンターやツーリストセンターがある。
方向オンチを治したいという人は、気負いし過ぎずに、気楽な心持ちで本書を読んでみるのがいいかもしれない。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。