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江川紹子の「事件ウオッチ」第76回

江川紹子がフェイクニュース騒動を検証…産経新聞の「辻元清美の3つの疑惑」に異議あり!

文=江川紹子/ジャーナリスト
江川紹子がフェイクニュース騒動を検証…産経新聞の「辻元清美の3つの疑惑」に異議あり!の画像1当の辻元氏は自身のサイトでデマ情報への注意喚起を行った

 フェイクニュースが世界を飛び交っている。インターネット上で出回る、発信元不明の情報だけではない。アメリカでは、なんと大統領が発信源だ。

・大統領選の総得票数でクリントン候補に負けたのは、何百万もの不正投票が原因
・メディアは故意にテロを報じていない
・入国禁止の大統領令に否定的な世論調査結果はデマだ
・殺人事件の発生率は過去47年で最悪

 これら、ドナルド・トランプ大統領の虚偽発言はあまりに多すぎて、社会に向けて新たなデマを発信しても、大して驚かなくなってしまった。

 しかし、こうした発言のたびに、関係者は事実確認を迫られる。バラク・オバマ前大統領が大統領選の期間にニューヨークのトランプタワーの電話盗聴を命じた、というトランプ氏のツイートには、関与をほのめかされた英国情報機関は、即座に「ありえない」と否定。連邦捜査局(FBI)も、そのような疑惑を示す情報はない、と否定した。これには、さすがに共和党関係者からも、「オバマ氏に謝罪すべきだ」との声が出たが、トランプ氏が意に介する様子はないようだ。

 昨年、イギリスがEU離脱を決めた国民投票の時にも、離脱派の政治家がEUに対する拠出金の額など、事実に反する情報を発信していたことがわかっている。

 「ポスト真実」ともいわれ、政治家からも虚偽が発信される時代。だからこそ、ジャーナリズムはこれまで以上に、事実へのこだわりが必要だ。このことは、この仕事に関わる者の共通認識のはずではなかったか。

 そんな時に、新聞がデマの拡散に努めてどうするのだろう。

産経新聞が報じた「疑惑」

 いささか前置きが長くなったが、私が憂えているのは、森友学園の籠池泰典・前理事長の妻で塚本幼稚園副園長の諄子氏が首相夫人の安倍昭恵氏に送ったメールの中に、辻元清美・衆院議員の名前が出ていることを、産経新聞が「疑惑」として報じた問題である。

 このメールは、3月24日に自民党の西田昌司参院議員が公表した。西田氏が昭恵氏から入手した記録を基に、2人のやりとりを再現したものという。

 森友学園問題がメディアで大きく取り上げられ、幼稚園児に教育勅語を暗誦させたり軍歌を歌わせたり、運動会の選手宣誓で「安倍首相、ガンバレ!安保法制国会通過よかったです!」などと言わせていたことも批判的に報じられるようになるなか、諄子氏はメールで窮状を訴え、昭恵氏が「今はじっと我慢の時です」などと慰めるやりとりが交わされている。

 その最中の3月1日分に、こんな記載があった。

〈辻元清美が幼稚園に侵入しかけ私達を怒らせようとしました嘘の証言した男は辻本と仲良しの関西生コンの人間でしたさしむけたようです〉〈(小学校の建設関連工事の下請け業者として)3日だけきた作業員が辻元清美が潜らせた関西なんとか連合に入っている人間らしい〉【原文ママ】

 この業者は、「校舎部分の汚染土を、校庭に掘った穴に埋め戻した」とメディアで証言。これに対し、森友学園側は「産廃土の一部を地下に仮置きしたものだ」と反論していた。メールからは、この業者は辻元氏が送り込んでマスコミに間違った情報を発信させたと、諄子氏が思い込んでいたことが伺える。

 諄子氏自身、後に行われた作家の菅野完氏のインタビューで、こうした辻元氏に関する記載について、「事実を確認したわけじゃありません」と、思い込みであったことを認めている。

江川紹子/ジャーナリスト

江川紹子/ジャーナリスト

東京都出身。神奈川新聞社会部記者を経て、フリーランスに。著書に『魂の虜囚 オウム事件はなぜ起きたか』『人を助ける仕事』『勇気ってなんだろう』ほか。『「歴史認識」とは何か - 対立の構図を超えて』(著者・大沼保昭)では聞き手を務めている。クラシック音楽への造詣も深い。


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