地球は丸い」というのは当たり前のこと。
だが、普段の生活の中であまり実感することはないだろう。実は地球が丸い証拠は、身近なところにたくさんあったりする。
『地球は本当に丸いのか?』(武田康男著、草思社刊)は、「地球は丸いに丸いのか?」という疑問に答えるため、著者の武田氏が撮影した写真や図などを用いて、地球が丸いからこそ起こる「目で見てわかる現象」を解説し、地球の丸さの影響を視覚的に示す、なんともマニアックなテーマな一冊だ。
■東京湾で分かる「地球は丸い」
海岸から湾の対岸や遠くの船を双眼鏡でのぞくと、対象物の下の部分が水平線の下に隠れて見える。これも地球が丸い証拠だ。
例えば東京湾でもそれを見ることができる。
南北約80㎞、東西約30㎞の東京湾では、海岸や東京湾アクアラインの「海ほたる」から眺めれば、対象物が水平線の下に隠れる効果がはっきりとわかる。水平線上に見える対岸のビルは、地表に近い部分が隠れ、やや低く感じるという。
ただ、この現象を見るには条件がある。天候が良く、空気が澄んでいるということがまず必要だ。また、時間帯は朝や午前が良いなどのアドバイスも書かれているのでぜひ本書を参考にしたい。
■月の模様が上下左右反対に?
他にも、月の模様の見え方の違いで地球が丸いことが分かる。例えば日本と南極では、夜中に見える月の模様が上下左右反対になっているのだ。
それは、人が月を見る向きが、北半球と南半球では上下反対になるからである。北半球の人から見ると、南半球の人は逆立ちしているような形になり、このような現象が生まれる。
ただ一人の人間が同時に日本と南極にいることはできないので、例えば2人でそれぞれの場所に立ち、同時に写真を撮影し見比べてみるということで実感できそうだ。
武田氏は、空の写真家であり、以前は高校の地学の教師でもあった。そのため、写真は美しく、解説がわかりやすい。
夏休み、山や海に行ったとき、月や広い空、海辺から見る水平線をチェックして、地球の丸さを確認してみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。