また、安くなってから買う、という人がいますが、さっきの融資がそういう時期は締まるため、たとえば投資経験が数年以上あるとか、自己資金が潤沢にあるなど限られた人しか融資してくれなくなると思われます。
そうした不確定な未来を待つのではなく、いま始めるべきだと僕は思います。買って損する物件だと意味がありませんが、プラスのキャッシュフローを生む物件であれば、数年待つよりも1年でも2年でも早く買えば、その分キャッシュが手元に残ります。この考えは重要です。
――不動産投資をはじめる上で、やはり「失敗するかもしれない」というリスクが心配です。リスクにどのように備えるべきでしょうか?
椙田:不動産投資に関するリスクのうち、突発的な事故や自然災害系については損害保険で対応できることがほとんどです。
私が思う最大のリスクは「空室が埋まらない」という点です。これも営業努力である程度カバーできますが、やはり埋まりにくい物件を買ってしまうと、その後に賃貸付けで要らぬ苦労が増えるので、物件選定がやはり重要ということになります。これへの対応としては、日頃から管理会社・客付会社さんとリレーションシップを構築しておき、空室が出た時には迅速に優先的に埋めてもらえるようにしておくことが肝心です。
――椙田さんが不動産投資をする上でよくお使いになっているツール(アプリ)があれば教えて下さい。
椙田:「ローン計算。」というアプリです。これは融資額、返済期間、金利を入力すると、毎月の返済額、年間の返済額、およびトータルの返済総額がすぐわかる優れものです。元利均等返済と元金均等返済という返済方式を選択できることができ、それぞれの毎月ごとの元金と利息ならびに残高の経時的変化を一覧で可視化できる点も非常に使えます。
――不動産投資に成功しやすい人の特徴を教えて下さい。
椙田:これまで数百組の不動産投資家のデビューをサポートしてきた中で、うまく行く人と行かない人の特徴がわかってきました。その共通点は4つあり、「素直な人」「行動量が多い人」「行動が素早い人」、そして「家庭が円満な人」です。
特に「家庭が円満な人」というのは非常に重要で、家族に反対されて挫折したり、コンセンサスを取れないまま開始して、途中でやめざるを得なくなってしまう人も多いですから。
――タイトルにもある「自己資金ゼロから」という言葉に魅力を感じる人も多いと思いますが、収入も自己資金も少ない状態で本当にできるのでしょうか?
椙田:自己資金のみならず収入も少ないというと難しいですね。収入は例えば700万円くらいあって、自己資金がない人という人ならば、生活スタイルを見直せばできます。むしろ、最初にすべきは投資ではなく生活スタイルの見直しですね。
「その年収でなぜそんなにお金がないんですか」という人は多いんです。派手にお金を使っている人も少なくなく、不動産投資による収入が入るとことでよけいに生活が派手になるリスクがありますね。
――椙田さんの元にも金銭感覚が派手という人はよく来られるんですか?
椙田:多いですね。だから、最初に生活の見直しを指摘します。不動産投資で仮に不労所得が入っても、遊びには使わないこと。貯蓄して再投資する。不動産は古くなると修繕に費用が発生することもあるので、無駄遣いすべきではありません。