一度精神面に不調を抱えてしまうと、回復するのには本人が思っているよりも時間がかかることがあります。
それぞれに自分と相談しながらさまざまな方法を試すなかで、「食事」に注目して自身の症状を改善させたのが、『薬を使わず 自分のうつを治した精神科医のうつが消える食事』(アスコム刊)の著者で、精神科医の宮島賢也さんです。
宮島さんが、うつに対抗するための食事でポイントとしていたのは「体に毒を溜めないこと」と「腸内環境を整え、脳を元気にする食事を心がけること」だったそう。
これらは具体的にどういったことなのでしょうか。
■水をたっぷり飲んで体から毒を出す
うつから抜ける食事の第一のポイントは、体に毒を溜めないこと。
宮島さんが実践したのは、果実と生野菜、玄米中心の食生活でした。まず、体にできるだけ毒を入れないように心がけると同時に、体に入ってきた毒を流すために水をたっぷり飲むようにしたそうです。
目安は、体重の30分の1。宮島さんも、最低でも1日2リットル、一時期は1日5リットル以上飲んでいたといいます。
2リットルを大きなペットボトル1本と考えるとかなりの量ですが、私たちが1日に体外に出す水分量の平均は2~2.5リットル。それを考慮すると、体に毒を溜めないようにするために、水分はもっと積極的にとっていいものかもしれません(ここで紹介している水の量はあくまで目安です。実行する際はご自身の体調や健康状態に十分ご注意ください)。
■味噌汁で腸内環境を整えて症状改善!
宮島式では、腸内環境を整える食事もすすめています。
近年、腸の研究で、腸内環境が悪くなると脳の働きに影響を与え、心のバランスが崩れることがわかってきました。
腸内環境を整える食材としてよく知られているのが乳酸菌です。宮島式でとくにすすめているのが、植物性乳酸菌。伝統的な日本の発酵食品に含まれるもので、納豆、味噌、ぬか漬け、しょう油、酢、日本酒などがあります。毎朝、一杯の味噌汁を食べるだけで、うつの症状改善に効果があるとしています。
■不快な症状は脳の栄養不足かも?
宮島式で玄米菜食をすすめるのは体に毒を入れないことも理由のひとつですが、脳に栄養を与えるという目的もあります。というのは、心のバランスが崩れているのは、低血糖症が原因かもしれないからです。
血糖値が標準値を下がると、脱力感や疲労感、不安感などの症状が出てきます。まさに、うつの症状です。低血糖症をもたらすといわれる食材は、砂糖、白米、白いパン、うどん、そうめん、ラーメンなど。つまり、主食を玄米に変えるだけで、脳にエネルギーを安定供給することができるようになるといいます。
『うつが消える食事』では、このほか脳を元気にする食材として、ビタミンCやカルシウム、レシチン、亜鉛、DHA、EPAなどが含まれる食材も具体的に紹介しています。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。