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不謹慎狩りで言えば、「不謹慎な誰か」を排除しなければ、集団全体が「不謹慎」、つまり「ルールを逸脱した状態」に変容し、ひいては集団そのものが崩壊する恐れがある。その前に、崩壊の引き金になる「不謹慎な人」を潰しておく必要がある。
つまり、サンクションは、本質的には集団や共同体を守ろうとする行動なのだ。これは「向社会性が高まった末の帰結と言えるかもしれない」と著者はいう。
しかし、「サンクション」には、相手からリベンジされるかもしれないというリスクがある。そのリスクを乗り越えても実行に移せるのは、オキシトシンやドーパミンなどの脳内物質が分泌され、快感が得られるからだ。
著者は「基本的に、人間は快楽のために行動する」と本書の中で述べている。脳が生み出す快楽は性行為で得られる快感をはるかに凌ぐと言われており、抗うのは難しい。しかし、「自分の行動は、快楽に流されているだけではないか?」と疑いを持つことで、過剰な制裁や不毛な糾弾に歯止めをかけることはできるかもしれない。
(ライター/大村佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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