社会に出るとプレゼンテーションをする機会が多い。他社とのコンペや、社内会議、研修で話すときなどがそうだ。今は人前で話すのが苦手という人も、苦手とは言っていられない状況になってくる。だから、社会人になる前に、高校生、大学生の段階でプレゼンテーション、コミュニケーションの技術を身につけておくにこしたことはない。
プレゼンテーションとは、相手を説得する技術でもある。だから、もちろん社会に出る前でも大いに役立つものだ。
高校生、大学生ほどプレゼンテーションを
高校生、大学生に向けて、プレゼンテーションの心構えから、プレゼンストーリーとパワポスライドの作り方、スピーチの基本技術とプレゼンスピーチの練習方法など、プレゼンテーションとコミュニケーションの方法を紹介するのが『コミュニケーションを高めるプレゼン・発表術』(上坂博享、大谷孝行、里見安那著、岩波書店刊)だ。
プレゼンテーションは、話し手と聞き手の間の双方のコミュニケーションで成立する。1人で大勢の聞き手を相手にする機会が多いかもしれないが、まずは無理をせずに1人の聞き手と会話することに集中するのがいいという。
自分の話をよく聞いてくれている聞き手に目をつけ、その人に向かってプレゼンする。目が合えば、うなずいたり、笑ったり、なんらかのリアクションをしてくれるはず。これによって、双方向のコミュニケーションが成立する。
ユーモアで相手をスピーチに惹きつける
ただ、プレゼンテーションはただ話せばいいだけではなく、相手の興味を惹きつけなければ集中して聞いてもらえない。そのために身につけておきたいのがユーモアだ。ユーモアが含む笑いの要素によって、人と人との距離を縮め、他者との一体感がつくられる。
ユーモアスピーチはハードルが高く感じるが、聞き手をどうやって話に引き込むかを学ぶことに適している。そこで、まず大切なことが、話の始め方、導入、いわゆる「つかみ」だ。
聞き手をストーリーの世界に引き込んでいくには、冒頭で情報の受け手側とどこまで場面の共有ができるかがカギとなる。たとえば、自分のおじいちゃんについて語るなら「おじいちゃんの〇〇」というように、冒頭で題名を言ってからスピーチに入る方法がある。他にも、笑いが起こる際の「ズレの理論」やオチの話し方、声色に変化をつけて話すといったユーモアスピーチの技術も本書では紹介されている。
プレゼンテーションの教科書としても使うことができる本書。人前で話すのが苦手、プレゼンが苦手という人は、本書の内容を参考に実践してみてはどうだろう。技術を身につければ、プレゼンや人前で話すことも楽しむことができるようになるかもしれない。
(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。