「おひとり様」「ぼっち」など、一人でいることはまるで不幸なことのように言われる。しかし、人と群れることは、本当に幸せなことなのだろうか?
人と群れることは、自分と似たようなメンバーの中で安住すること。心地いいのは確かだが、キャリアも収入も人間的な器の大きさも今以上に広がらない。本気で今より上のステージや成功を目指すなら、「ひとり」でいることが最も有効な戦略なのだ。
群れから離れ、一人でこっそりと周りに差をつけろ
『ひとりでも、君は生きていける。』(学研プラス刊)の著者・金川顕教さんは、偏差値35というどん底から大学進学を果たし、在学中に合格率10%と言われる公認会計士試験に合格。卒業後は会計事務所デロイト・トウシュ・トーマツグループの監査法人トーマツに勤めた。しかし、将来を約束された同社を3年で退社し、起業。たったの5期で年商7億円を売り上げる事業を手掛けている。
金川さんによると、この結果こそ「ひとり戦略」の賜物。周りに流されず、一人でコツコツと実力を蓄えたことの大きな成果だとしている。
金川さんの言う「ひとり」とは、「自立した個人であること」であり「主体的に人生を切り開いていけるマインドセット」だ。自分の意思で「ひとり」を選ぶことには大きな意味がある。
余計な付き合いがなくなり自分のために使える時間が格段に増える。その時間を有効に使えば、周囲に大きな差をつけて一人勝ちできる。また、他人の意見に人生を左右されず、自分の価値観に正直に生きられるようになるのだ。
「ぼっち」になるのは簡単である
「ひとり」が大きな成果を出すとわかっていても、たとえば、人間関係が悪くなることを懸念する人もいるかもしれない。だが、「ひとり」になることはそれほど難しくはない。
遊びや食事に誘われても何回か断っているうちに、自然と「あいつはもう(誘わなくて)いいんじゃないの」という空気になる。また、常に自分のために時間を使って勉強などに打ち込んでいると、「話しかけるなオーラ」が出てくるので、相手も放っておいてくれるようになるという。
金川さんの場合も、寸暇を惜しんで公認会計士の勉強に勤しんでいる姿を見て、「頑張ってね」とエールを送ってくれる人も少なくなかったという。
タワマンに住んで「ハイレベルの錯覚」を起こせ!
「ひとり」で物事を成し遂げよう、成功しようとするとき、自分を奮い立たせる環境に身を置くことが大切だ。
金川さんの会社員時代は少ない時で手取り25万円の給料だったが、その頃、家賃11万円のタワーマンションに住んでいたという。家賃の目安が給料の三分の一だと考えるとかなり無理をしている。
しかし、これには狙いがあったという。氏が住んでいたのは家賃が比較的安い階で、最上階には50~70万円の部屋があり、自分より上のステージの人やお金持ちと顔を合わせる機会も多かったという。中には、自分より若いのに上階に住む人もいて、悔しがりながらも「もっと頑張ろう」と思うことができたという。
さらに、そうした人たちと毎日顔を合わせているうちに、「自分とこの人たちはそこまで大きな違いはないのでは?」と錯覚するようにもなる。根拠はないかもしれないが、それは行動を後押しする自信につながっていく。「水は方円の器に随う」という言葉もあるが、環境は人生を左右する大きなファクターだと言えるだろう。
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「ひとり戦略」といっても、この先の人生をずっと「ひとり」で過ごせと言っているわけではない。
ある時期、特に人生の可能性を秘めた20代、30代の一定期間はひとりで過ごし、自分のしたいことに全力を傾けることが必要なのだ。
『ひとりでも、君は生きていける。』には、仕事で、学業で、あるいはスポーツなどで大きな成果を残すために必要となる、自分を進化させる考え方や行動が詳しく綴られている。
新学期、新年度が始まる今こそ、本書を参考に自分を変える取り組みを始めてみてはいかがだろう。(ライター:大村 佑介)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。