会社を作った後、10年生き残れるのはそのうちのたった5%といわれます。それほど会社を経営するというのは困難が多く、なかなか思うようにはいかないものなのです。
では、事業が軌道にのり、何十年も続く会社とそうでない会社の違いは何なのでしょうか。
税理士として20年にわたって数々の企業の顧問を務めてきた横田光弘さんは、著書『矢沢永吉に学ぶ成りあがりマーケティング』(角川書店/刊)で、「経営とはパッション(情熱)であり、パッションのある会社が伸びている」と言い、自身がファンだという、ミュージシャンの矢沢永吉さんのマインドとマーケティング手法を取り上げながら、会社を成功させる秘訣を説いています。
確かに“永ちゃん”といえば、デビューから還暦を迎えた今に至るまで多くの熱狂的なファンを持つカリスマ。彼のどんなマインドに、ビジネスを成功させる秘訣が隠れているのでしょうか。
■流行を追わず、ブレない
今も昔もファンの心をつかんで離さない永ちゃんの魅力として、横田さんは「決してブレない」その生き方を挙げています。
経営をしていると、どうしても目先の結果が欲しくなり、その時のトレンドばかり追いかけてしまいがち。しかし、流行を追うばかりに「自分らしさ」や「自分の会社らしさ」を失ってしまっては元も子もありません。
永ちゃんがデビューから40年間、ひたすら「矢沢らしさ」を追求しているように、経営においても大事なのは「自分らしさ」の追求なのだと横田さんはいいます。
■オリジナリティにこだわる
永ちゃんはキャロルを率いてデビューした当時は、いわゆる“ロックンロール”を演奏していましたが、その後AOLやシンセポップ、LAサウンドなどさまざまな音楽を取り入れてきました。このことだけを見ると、その時々に流行していた音楽に便乗したようにも見えますが、実際に彼の曲を聴いてみると、どんな音楽を取り入れていてもその根底には「矢沢らしさ」があることに気づくはずです。
たとえどんな商品・サービスを開発しても、その奥底にはその会社「らしさ」が感じられることが、顧客に愛され、支持される会社を築きあげるために不可欠なのです。
■まじめさを忘れない
横田さんは、一度や二度の成功に慢心せず、さらにいい商品・サービスを生み出し続ける努力をやめない勤勉さ、まじめさも、ビジネスを成功させるためには欠かせない条件だとしています。
キャロルでデビューし、人気を得てからもしばらく、永ちゃんは川崎の家賃1万7000円の風呂なしアパートに住み続けました。仕事が終わるとすぐに帰宅して、子どもをおぶって銭湯に行き、空いた時間は曲作りなど創作活動に没頭していたといいます。
成功を収めると、それまで大事にしてきたまじめさをつい忘れがちになります。事業がうまく回り始めても、慢心せずにさらに努力を重ねることが、ビジネスをさらに上のレベルに引き上げるための条件なのかもしれませんね。
本書にはこのほかにも、横田さんが永ちゃんの生き方・考え方から導き出したビジネス成功の秘訣が多く取り上げられています。
いずれも一人のビジネスパーソン、一人の人間としても大切にしておきたい心構えばかりなので、会社経営に携わっている人だけでなく、起業を考えている人や若手社員の方にとっても大きな学びが得られるはずです。
(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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