ダイエットは痩せることそのものより、痩せた体重をキープする方が難しい。
何度もチャレンジしてはリバウンドしている人は、このことが身に染みてわかっているだろう。そして、リバウンドを繰り返す人ほど「摂取カロリーを減らせば痩せる」という考えにとりつかれていることが多い。だが、この考えは本当に正しいのだろうか?
■摂取カロリーを減らしてもダイエットはうまく行かない
「摂取カロリーを消費カロリーが上回れば痩せる」という考えは、おそらく間違いではない。
ただし、それがそのままダイエット成功につながるかというと、必ずしもそうではないのがダイエットの難しいところ。「これまで食べたいだけ食べてきたものを我慢する生活をいつまで続けられるのか」という問題があるからである。いつしかストレスが爆発して「ドカ食い」してしまえば、これまでの努力は水の泡だ。
ならば、「摂取カロリー」という量的観点で食べたい気持ちを無理に押さえつけるのではなく、食事の「質」を高めることで、満腹になるまで食べなくても満足する状態を作る方が、結局はダイエット成功の近道なのではないか。
■ダイエットを成功させる食事の7つの鉄則
「マインドフルネス」という言葉を聞いたことがある人は多いだろう。あえて説明するならば、「マインドフルネス」とは、生活のあらゆる瞬間の経験に意識を向けること。瞑想とセットに語られることが多いが、必ずしも瞑想が必要なわけではない。
『私と世界を幸福で満たす食べ方・生き方(仏教とハーバード大学が勧めるマインドフルネス)』(ティク・ナット・ハン、リリアン・チェン著、大賀英史訳、サンガ刊)は、このマインドフルネスの考え方を食事に採り入れ、体と心の両面を満たす食事のあり方を指南する。
思えば、私たちは食事の時に何を考えているだろうか。忙しい人ほど、何も考えずに注文し、料理が出てきたらそれをひたすらお腹に詰め込む。頭の中は次の仕事や明日の予定で一杯。今食事をしているその場所に自分の「マインド」はない。これでは、食事をしたことの拠り所が「満腹感」しかなくなってしまう。
今食べている食事と、食事をしている自分に意識を向けるために、本書では7つの実践的な取り組みを紹介している。
1.食べ物に感謝する
食事ができることに、食材を作った生産者に、そして料理をしてくれた人に感謝する。もし誰かと食卓を囲むなら、会話は目の前の食事の話題に。テレビやインターネットなど、食事への興味を削ぐものは遠ざけて、食事に集中する。
2.あらゆる感覚を動員する
味だけではなく、音や色、匂い、手触り、そしてそれらに対する心の反応に意識を向ける。
3.よそう量は少なめに
食器のサイズは小さめにして、盛るのは一度だけにする。
4.口に入れるのは少しにし、味わいながら最後まで噛む
一度に口に入れる量を減らし、少量をよく噛む。たくさん噛むことで食事を十分に味わい、飲み込んだ後の余韻も楽しむことができる。