「時間ぴったりに到着」「キャンセルを一方的にメール」は、あなたへの信用を失う
すると、さらに講師は私のほうが遅いなんて申し訳ないと、もっと早い電車に乗り、結局2人は朝7時に会場で会っているのです。しかもその2人は、一度だけでなく、何度もそんなことを繰り返していたのです。
私も含めて、この話を知った周囲の人たちは、もっと合理的な時間管理をするよう双方にアドバイスしたのは言うまでもありません。
レッドカードが出てしまうようなケース
若い世代の人たちを見ていて気になってしまうのが、待ち合わせに遅れるようなとき、あるいは行けなくなったときに、メールで一方的に連絡するだけという習慣です。
たとえば、以前から約束していたことを当日キャンセルせざるを得なくなったときに、テキストによるメッセージだけを送り、肉声で伝えることも、詫びることもないのは、失礼なことです。
知り合いから聞いた話ですが、あるとき若い人が夕食の待ち合わせの場所に現れないので、電話をすると、行けなくなった旨を昼間メールしておいたというのだそうです。その電話での話し方も、あとで見たメールの文章も丁寧だったそうなのですが、私の知り合いは、取りやめにしたいという意向が相手に伝わったか確認しないまま放っておける、その感覚がわからないというのです。
無論、緊急の用事で仕方のないときはあるものですが、そうではなく電話もできるのであれば、テキストのメッセージだけを一方的に送っておしまいでは、相手のことを十分に気づかっていないと思われてしまうでしょう。
若い人が来なかった理由は、午前中に行った歯科医での治療が大がかりで、その日は普通の食事が採れなくなったからということでしたが、私の知り合いは、鮨屋の予約をしてあり困ってしまったようです。若い相手はそうしたことまで想像が及ばないのでしょう。
ここで、その若い人を責めたいのではないのですが、ビジネスパーソンとしては、そのくらいのことを思いつけないようでは、不合格と言わざるを得ません。待ち合わせなどは簡単なことに思えるのですが、このように信頼を失う結果をもたらすこともあるものです。
周囲の人たちが、あなたが「時間(あるいは約束)を守る人かどうか」を見ながら、信用できるかどうかを観察しているのは、いじわるをしたいからではありません。人は誰でも信頼できる人と付き合わなければ、自分が痛い目に合ってしまうため、慎重にならざるを得ないのです。そのことを意識しながら、ビジネスパーソンとしての振る舞いを洗練させ、信用を高めていきたいものです。
(文=松崎久純/グローバル人材育成専門家、サイドマン経営代表)