我が子を健康で活発な子、できれば学力の高い賢い子に育てたいのは親として当然の願いです。
そのために子どもに与える食べ物に気を付けたり、塾や習い事に通わせたりと親はさまざまな取り組みをしますが、身体を修復し脳が成長する時間である「睡眠」をおろそかにすると、その努力が無駄になってしまう可能性があります。そして、「ぐっすり眠る」ための盲点になっているのが寝室の環境です。
「お子さんの健康のために食べ物に気をつけたり、将来のため塾や習いごとに通わせたりしても、寝室の環境が悪いと成績が悪くなったり、健康に悪影響が出たりする危険性があります」と語るのは『元気で賢い子を育てたいなら 子どもがぐっすり眠る部屋を作りなさい』(アスコム刊)の著者、金光容徳氏です。
■ぐっすり眠れる寝室づくりが、子どもの成長に何よりも大切
「ぐっすり眠れるかどうかは、寝室の環境にかかっていると言っても過言ではありません。寝る子は育つといいますが、ぐっすり眠れないことが、子どもの成績が悪くなる、さまざまな病気のリスクが出るといった子どもの成長に悪影響を及ぼすことは、色々な論文で実証されています」と語る金光氏。
まず金光氏がぐっすり眠れない寝室として挙げた条件が「寝室を眠るだけの空間にする」「朝、太陽光が入るようにする」「空気をきれいにする」の3つです。
■ぐっすり眠れる寝室のポイント その1 寝室を眠るだけの空間に!
人間の脳は非常に敏感で、環境によって、無意識のうちにいろいろな働きをしてしまいます。たとえば、別に何も悪いことはしていないのに、警察官を見かけたら少しどきどきしてしまったり、住んだことがないところでも、田園風景を見たらどこか懐かしい気分になったりします。
それと同様に、寝室が散らかっていたり、寝室で遊んだり、眠る以外の別の用途で使ってしまうと、気がつかないうちに「眠る」こと以外に脳の意識が向いてしまいます。
逆に、寝室に何もなく、眠る以外の用途で使わないと、寝室を見ただけで、眠りのスイッチが入るようになるのです。そのような理由で、よく勉強部屋と寝室が一緒の部屋になっているのもできれば避けたいと金光氏はいいます。
「もし、住居の関係で、勉強部屋と寝室を分けられない場合は、就寝前には机の上に何もない状態にしたり、本棚に白い布をかけたりしましょう。本棚に布をかける→机の上を片付ける→歯を磨く→ベッドに入るといったように、眠るまでの行動をパターン化して習慣にすれば、その一連の行動により「片付けをしたら就寝が近いですよ」ということを脳に学習させ、片づけが眠りのスイッチになります」と言います。
■ぐっすり眠れる寝室のポイント その2 朝、太陽光が入るようにする!
また、ぐっすり眠るための必要条件として金光氏が挙げるのが「太陽光」です。朝、太陽の光を浴びると、朝日を浴びると、脳から体に、眠くなるホルモン、メラトニンの分泌をストップする指示が出て、すっきり起きられます。さらに、14~15時間後に、眠気を誘う作用のあるメラトニンというホルモンが分泌されるようになります。
このため、斜光カーテンや雨戸で太陽光をシャットアウトするのではなく、薄手のカーテンにし朝になったら朝日が入り込むようにとよいと言います。
■ぐっすり眠れる寝室のポイント その3 寝室の空気をきれいにする
また、金光氏は、寝室の空気は、健康のために、非常に重要だと語ります。
「私たちは、寝ている間に大量の空気を吸い込んでいます。その量は、子どもであれば、1日で、2リットルのペットボトル1,500本です。寝室の空気中にホコリ、カビ、有害な化学物質が充満していたら、眠っているところからは逃げられないので、汚れた空気を大量に吸い続けなくてはなりません。吸い込んだものがアレルギーやぜんそくなどの原因となると同時に、それらの病気が不眠を引き起こすこともあるのです」
化学物質を使わない自然素材の寝室づくりをするのが一番いいのですが、それが難しいという方は、小まめに換気をする、カーペットをしかない、エコプラントという化学物質を浄化する力のある観葉植物(ポトス、サンスベリア、ドラセナ、アロエベラ)などをおくのがよいのだとか。
本書では早稲田ハウス社長として「寝室が変われば人生が変わる」をコンセプトに、寝室にこだわった家作りを追い求め続けてきた氏のぐっすり眠るための寝室づくりのメソッドが多く紹介されています。
健康も勉強も眠りから。我が子を健やかに育てるために、参考になる部分は多いはずです。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。