8期連続赤字、倒産寸前だったメガネスーパーをV字回復させた立役者が、2013年6月にメガネスーパーに入社したビジョナリーホールディングス代表取締役社長の星崎尚彦氏だ。
星崎氏が入社当時、メガネスーパーに抱いた第一印象は「やばいな」だったという。
床は汚い、社員は暗い顔で下を向いているか、不平不満をこぼしているか。本社の幹部社員は時間通りに来ないし、何も決めない。何かと言えば現場のせいにし、うまくいかないことの原因探しに終始していた。
そんな危機的状況だったメガネスーパーを星崎氏はどのように復活させたのか。
『雨が降っても槍が降っても利益が出るゼロベースマネジメント』(星崎尚彦著、日経BP刊)は、氏が実践したゼロベースマネジメントを具体例とともに紹介する一冊だ。
改革は脱常識から生まれる 「ゼロベース思考」とは
その「ゼロベースマネジメント」の核になるのが「ゼロベース思考」である。
星崎氏は、ピンチのときこそ、過去の成功体験や失敗体験、業界の常識、会社の聖域などにとらわれず、ゼロから発想する「ゼロベース思考」と、それをやり抜くゼロベースマネジメントが必要だと述べる。
では、「ゼロベース思考」とは具体的にどういうものなのか。星崎氏は冒頭でコンタクトレンズの販売を例に挙げている。
以前はクリニックで処方箋を出して、それに基づいてコンタクトレンズを販売するというのが業界の常識だった。しかし、実際にはインターネットなどで医師の処方なしでコンタクトレンズが売られていた。
そこに星崎氏は矛盾を感じ、何人かの弁護士に見解を聞いたところ、業界が慣例的にそのような販売形式を取っており、処方せんなしで販売しても法的には問題がないことを知った。そしてメガネスーパーは処方せんなしでの販売を開始、コンタクトレンズを購入する客がぐんと増えたという。
慣習や常識を取っ払い、まっさらな状態で物事を見る。「強い会社」であるために必要不可欠なのが、このゼロベース思考であると星崎氏はつづる。
そして、ゼロベース思考をもとにしたゼロベースマネジメントを進めるには「間違った常識に気づく着眼力」「成功体験や失敗体験を捨てる行動力」「戦略をやり切る完遂力」という3つの力が必要だと述べている。
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盤石な組織・利益基盤を築き「メガネスーパーを100年続く会社にしよう」、どんな経営環境にも適応するビジネスモデルを構築して「雨が降っても槍が降っても利益を出せる会社にしよう」を合言葉に、改革を進めていったという星崎氏。
そんな彼が、どのように社員の意識や行動を変え、どんな会議をし、リーダーを育てたのか。本書から、組織改革のノウハウを学べるはずだ。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。