掃除は、ただ部屋をきれいにし、整理整頓をするだけにとどまらない。進めていけば、本当に必要なものだけに囲まれた簡素な暮らしができる。これは禅の考え方だ。掃除は心にたまった欲望、執着、見栄、嫉妬などの心の乱れや雑念を落とす作業でもある。
そんな禅の教えとドイツ式片づけ術を紹介するのが、『片づけはほんのひと手間』(枡野俊明著、沖幸子著、祥伝社刊)だ。本書では、禅の考え方を交えながら、簡素に生きるための片づけと掃除の方法、シンプルで心豊かな暮らしを実現するためのさまざまな提案やヒントを紹介する。
■掃除の専門家が守っている4つの「約束事」とは?
まず、掃除は好きでなくていいから、上手にやれたらそれでいい。掃除の目的は、部屋をきれいに片づけ、整えること。なので、掃除そのものを好きになる必要はないと本書。「ものが多過ぎる」「汚れをためてしまう」から掃除は大変になるわけで、ものを減らし、増やさない。汚れはためずに、すぐ拭く。この2つを心がけることで、掃除の大変さからは解放される。
では、具体的にどのように掃除をすればいいのか。
もともと掃除嫌いだった掃除の専門家の沖幸子氏は、日々、上手に掃除をするために守っている約束事が4つあるという。
1.道具や洗剤はシンプルに
掃除道具をあれこれ買わない。沖氏が使う掃除道具は、タオル、はたき、スポンジ(大小)、掃除機、洗剤(中性洗剤とクレンザー)だけ。汚れをためなければ、これで十分だという。
2.「汚れの引き算」を習慣にする
汚れる前に拭く、汚れたらすぐに拭く。汚さない工夫をすることが大事だ。また、使ったらすぐに拭く、掃く、手入れをする、整える、片づけるなど、「使ったときが掃除どき」を習慣化する。
3.同じ動作を「同時に」「長時間」繰り返さない
掃除の基本動作は、はたく、掃く、拭く、磨く、の4つ。効率よく、楽に行うには、これらの動作を同時にしないことが大切。1つの動作に集中しよう。ただし、ひどいガンコ汚れは、一度に落とそうとせず、何回か分けて磨くことで、汚れを緩めるのがポイント。
4.掃除の場所と時間を決める
1カ所のみ、5分以内が原則だという。疲れると掃除が嫌になるので、一度に複数の場所を掃除しない。そして長時間しない。
掃除が苦手でも、好きになる必要はない。本書から掃除をする心構えを知り、使ったらすぐに拭くなど、嫌にならない程度にコツコツと掃除をする習慣を、これを機に身につけてみてはどうだろう。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。