特定の匂いを嗅ぐとそれに関連した記憶がよみがえったり、テストの前の日にかぎって部屋の掃除を始めてしまったり。
こうした自分でも止められない感覚や心理には、それぞれきちんとした名前が付けられている。そして、医学や生物学、心理学などによって「なぜ、そうなるのか」が解明されているのだ。
『ヘンな感覚の正体』(博学こだわり倶楽部著、河出書房新社刊)は、上記のような感覚や現象の名称や意味、なぜ起きるのかを解説した一冊だ。
■特定の香りを嗅ぐとそれに関連した記憶を思い出す「プルースト現象」
ある特定の香りが、それに関係した記憶を思い出させる。これは「プルースト現象」という名前がつけられている。
由来はマルセル・プルーストが書いた小説の中で、主人公が紅茶に浸したマドレーヌの香りから幼い頃の記憶を蘇らせるという場面があることから。
香りと記憶が結びついているのはなぜだろうか。それは、天敵の匂い、食料の匂いなど、匂いは動物にとって生きていくうえで重要な情報だからだと本書。また、プルースト現象を起こす香りには、脳を活性化させたり、免疫力を向上させる効果があることもわかっているという。
■テストの前夜、掃除をしたくなるあの現象の名前は?
テストの前の夜にかぎってマンガを読みはじめてしまったり、部屋の掃除をしてしまう。
本書によれば、こうしたことをしてしまうのは、失敗したときに、その言い訳を自分で用意するためなのだとか。失敗して傷つくことを恐れ、あらかじめその予防線を張っているのだ。
これを「セルフハンディキャッピング」という。言い訳をするために、自分にハンディキャップをつけるという意味だ。そして、別のことをして言い訳を用意することを「獲得的セルフハンディキャッピング」という。
他にも、「してはいけない」と言われるとやってみたくなる「カリギュラ効果」、子どもの頃よりも1年があっという間に感じる「ジャネーの法則」、行列しているラーメン屋に並びたくなる「バンドワゴン効果」など、日常によくある感覚には、ちゃんと名称が付いているのだ。
なんで大事な日の前に掃除をしてしまうんだろう? といったモヤモヤも、日常に起こる不思議な感覚の正体を知ることで、すっきりした気分になるはずだ。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。