先日、史上初めて、ブラックホールの撮影に成功したことが話題になりました。世界各地の電波望遠鏡を繋ぐ国際的大プロジェクト。暗闇に光るオレンジの輪に興奮した人も多いのではないでしょうか。
では、そのブラックホールにもしあなたが吸いこまれてしまったら、どうなるか知っていますか?
竹内薫さんの『怖くて眠れなくなる科学』(PHP研究所刊)には、ブラックホールの恐ろしさが書かれています。
私たちが住む地球に大気があるように、ブラックホールの周囲には「事象の地平線」というものがあります。この「事象の地平線」の中に一歩でも足を踏み入れたが最後、二度と出ることはできないそう。光さえ出てこられないので、“ブラック”ホールなのです。
おそろしい事に、事象の地平線を超えても突然重力が重くなるなどの分かりやすい変化がないため気づけません。「おかしいな」と思ったときには、もう手遅れです。
「出られないだけで死ぬわけじゃないんでしょ?」なんて思ったら大間違い。本書によればブラックホールにのみ込まれた宇宙飛行士がどうなるか、(実ははっきりとしたことはまだ分かっていませんが)理論的に計算した研究者がいるそうです。
ブラックホールの中心部に近づくにつれて、宇宙船には「わしづかみ」されたような力が働くといいます。これを「潮汐力(ちょうせきりょく)」と呼ぶのですが、この力はブラックホールの中心部に近づくほど強くなります。握りつぶされ前後に長くなり、最後は分子レベルまでスパゲティ状にのばされるというのです。
また、ブラックホールの中心部には特異点があり、そこからさらに別の宇宙へとつながっているという説もあります。壮大で夢がある話ではありますが、そこへたどり着く頃には、我々はスパゲティ状になっているわけで……。
なんとも怖い話ですが、近い将来宇宙旅行が当たり前になるかもしれない今、ブラックホールについて知っておいて損はないはず。事前の知識があったとしても、逃れられるかどうかはまた別の話ですが。
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。