人はそんなに変わらない!
よくロックやヒッピー文化の人たちが“Don’t trust over thirty.”と言います。教育学部出身の私が言うのもなんですが、現実的にはある程度のオトナになってしまえばなかなか人は変わりません(そういう私はすでにアラフィフです)。
いや、もちろん多大な努力やインパクトのある出来事があれば変わることはありますが、それは一部の人でしょう。特に、基礎能力や性格などについては、知識やスキルや行動習慣よりも変わりにくいとされています。これは年齢差別とかではなく、能力には「臨界期」(人間は特定の能力を学習するのに適切な時期があり、それを逃すといくら努力しても限界がある)があるという現実です。こういう現実を踏まえずに、素朴に「人はいつからでも変われるのだ」と、人に変わることを要望するほうが残酷なことではないかとすら思います。
マネジメント研修は意味があるのか
そこで、考えてみたいのが、全国津々浦々、さまざまな企業で行われているマネジメント研修についてです。私はさまざまな会社に対して人事コンサルティングをしているのですが、ほぼ100%のクライアントが組織課題の一つとして「中間管理職、マネジメント層の不足」もしくは「マネジャーのマネジメント力不足」を挙げます。これだけ言われると、世の中にちゃんとしたマネジャーなどいないのではないか、そもそもちゃんとしたマネジャーになるとか探すとか自体が意味のないことなのではないかと思えてきます。
そして、そういう会社は多くが解決策として「マネジメント研修」をやっています。マネジャーとしての心得とか、部下の声は傾聴しろ、こんなふうにフィードバックしろ……等々の「知識」のインプットです。もちろん、研修は基礎知識のインプットにはなりますし、何かのきっかけにはなると思いますのでマイナスではありませんが、これが一番効果的な策なのでしょうか。
繰り返しトレーニングしなくては、スキルは身につかない
というのも、マネジメントの力とは、よく「マネジメントスキル」と言われるように、「スキル」(技能)だからです。スポーツの技能と同じように、やり方を聞いたらすぐにできるというものではありません。何度も何度も繰り返し練習して初めて、あまり意識しなくても自動的にできるように習慣化されるものです。そのため、座学によって知識をレクチャーしただけでは、決してできるようにはなりません。