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「自己肯定感」に代わる新たな概念「自己存在感」とは

新刊JP
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※画像はイメージ(新刊JPより)。

自己肯定感を高めるために、成功体験を積もう」
「こどもの成長には自己肯定感が大事」

 などなど、自己肯定感という言葉はあちこちで使われ、すっかり有名になった。

 いいところも悪いところも自分のすべてを受け入れて、自分らしく生きようという意味で使われることが多いが、あまりにこの言葉が氾濫しすぎる状況にちょっとした息苦しさを覚えることはないだろうか。どうにも肯定できないところを内面に抱えつつ生きるのが人間というものだし、成功の味だけでなくほどほどに「負け方」を知っておくのも大切なことだ。

「自己肯定感」に代わる新たな自己認識「自己存在感」とは

 『自己肯定感ハラスメント』(辻秀一著、フォレスト出版刊)の著者であり、スポーツドクターとしてアスリートたちのメンタルサポートをしている辻秀一氏は「自己肯定感を上げて、自信をつけて、頑張る」という構造がジュニア時代から拡大していて、結果や成功だけを追い求められ、かえって苦しんでいるようなシーンがよく見受けられる、としている。

 自己肯定感は自分への無条件の肯定だが、やはりそこには自分の外側にある条件や評価・常識・比較などが関係してくる。そこには真の幸せはない。そこで本書では、自分自身や内側にある心持ちや感情などの存在に目を向けて「自己存在感」と言う別の視点の思考法を持つことの大切さを紹介する。

 自己肯定感は「肯定する」「高める」「否定してはいけない」といった認知的な評価が必要。一方、自己存在感はこのような認知的な評価は必要ない。そもそも人は誰でも生きて存在していて自分の「ある」ものを持っているので、そこに視点を置けばいい。目指す必要も人と比べる必要もないのが自己存在感だ。他人からどう思われるかよりも、自分がどう在るか、ということである。

 目標や夢にも認知的な捉え方と非認知的な捉え方がある。認知的には「夢を目指す」という使い方をする。目指す夢、叶える夢とは別に、「持つ夢」というのが非認知的な考えに沿った夢であり、自己存在感的な考え方だ。持っている夢は自分自身の中にあるので、誰かに評価されたり、叶ったかどうかを査定されることもない。自身の内側に夢を持って生きていること自体が大事なことで、それは自分を整え、生きる基盤となるエネルギーを生み出していくことになる。

 夢を叶える自己肯定感よりも、夢を持っている自己存在感は安定していて自分自身を地に足をつけさせてくれる。自己存在感は、自分らしく心を整えるためのものでもあるのだ。

 自己存在感は、自分の居場所が今ここに自分の中にあるという安心感をくれるもの。自己肯定感主義の世界に疲れてしまったという人は、自分の心を守るためにも、自己存在感という新しい考え方を取り入れてみてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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