東京都教職員研修センターによる小学校1年生~高校3年生を対象にした「自分のことが好きですか」という調査(令和3年)によると、「思わない」「どちらかというと思わない」と回答した子の割合は、小学校2年生で約20%、6年生になると約40%、中学生では約60%になるという結果が出た。このような調査はさまざまな機関で行われているが、どの調査も4割~6割が「自分が嫌い」と答えている。
この調査から、自己肯定感のターニングポイントが9、10歳の小学校3、4年生であることがわかる。なので、親子でコミュニケーションをとり、12歳までに自己肯定感の土台をつくることが重要となる。
12歳までに育んだ自己肯定感がその後の人生に及ぼす影響
本書『12歳までの自己肯定感の育て方で、その後の人生が決まる』(ばなな先生著、フォレスト出版刊)では、元教師であり、よかよか学院校長のばなな先生こと小塙雅多加氏が、子どもの自己肯定感の土台をつくるために、見る、聞く、動くといった自己受容を経験してもらうワークを中心に、親子で取り組むワークを紹介する。
自己肯定感とは、自分のそのままを肯定する力であり、これが高い子どもは3つの力が備わっている。その3つとは「主体性がある」「失敗を恐れずチャレンジする」「誰とでもコミュニケーションがはかれる」だ。では、どのように自己肯定感を高めるのか。
大人の社会でも「指示待ち人間」は、自信がなく、決断することが苦手で、自己肯定感の低さとリンクしている。これは12歳以下の子どもも例外ではない。そんな子であっても、大人がちょっと工夫をこらせば、指示待ちから脱却できる。
自分のやることを自分で決めたということは、その子にとってその瞬間のベストな選択をしたということ。その選択を承認するというのは、選択した子どもそのものを承認することと同じだ。
指示待ちの子はよく「これでいいの?」と親や先生に聞くという。そんな子たちの共通点は、大なり小なり、決定場面で大人に頭ごなしに叱られてきていること。なので、子どもが決断したとき、大人はその根拠を聞き、否定することなく受け止めることが大切になる。自分の決断が承認されると、決断したその子の根拠が認められ、自信を持って行動できるようになる。決断と完了のサイクルを完結させることが自己肯定感アップの要因となるのだ。
親子で取り組むワークは、親は子どもに「自分がよいと決めたことをやってみない?」と提案する。そして、提案の理由も聞いて、どうなったらよいのかというゴールも一緒になって考えてあげること。ポイントは、子どもが決めたよいと思うことに取り組んでもらうことが大切で、「〇〇はどう?」と提案しないこと。
12歳までに培われた「わたしでいい」「それでいい」という自己肯定感の基礎の資質である自己受容は、大人になってからも他人と比較することなく、自分基準で考えることができる。自己肯定感の土台をつくるワークを親子で実践してみてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。