「自分の思うように人を動かせたらいいのに…」そんなことを誰もが一度は思ったことがあるはず。しかし、一筋縄ではいかないのが人間の心理。自分の思った方向とは逆へ行ってしまうこともしばしば。
そんな人間関係に困っている人たちの間で話題になっている一冊の本があります。
『心理学者が教える 思うように人の心を動かす話し方』(アスコム刊)という本で、ベストセラー作品を多数著している心理学者の榎本博明さんが「悪用禁止」のもとに、周囲の人を自分のいいなりにしてしまう方法を紹介しています。出版元のアスコムによれば、書店に並んだ直後から人気を集めており「仕事ですごく役に立つ」という声が寄せられているそうです。
では今回は、本書に載っている人の心を動かす心理テクの中から、2つご紹介しましょう。
●「不安」と「恐怖」は煽りすぎると逆効果に!
人を思い通りに動かすというところで、まず思い浮かぶのが「不安」や「恐怖」を煽るという方法です。例えば、健康の悪化や人生計画の面でリスクを煽ってくる広告はたくさんありますよね。そして、その不安を解消するためにその商品を買ってしまったと言うことがあるかもしれません。私たちは不安や恐怖を感じたら、それを解消しようと行動を起こしてしまうものなのです。
では、その不安や恐怖をより強く与えれば、さらに自分の思う通りに動いてくれる…そう考える人もいらっしゃるかも知れませんが、それでは逆効果ということも心理実験で実証されています。
「歯を磨かないことのリスク」に対して弱い脅しと強い脅し、2種類の脅しをかけて比べたところ、弱い脅しのほうが、意図する方向に人々が行動したのに対し、強い脅しは恐怖感が強すぎると抑圧が働いてしまい、逆に意図する行動をする率が弱い脅しよりも低かったそうです。なんでも強く脅せば人は服従してくれると思ったら大間違い。逆に自分が痛い目を見るかもしれませんよ。
●集団圧力は全体のたった2~3割でかけられる?
「みんなその番組見ているから」「あ、それ、みんな見ているらしいね」そう聞くと「自分も見ないと」と思ってしまうことはありませんか? その心理が、流行の原点となるわけですが、周囲の何割くらいが言っていれば「みんな」と認識するようになるのでしょうか。
ある社会心理学の実験では、自分のまわりの20~40%の人が同じ意見を言ったり、同じ行動をとっていたりすると、「みんなやっている」という集団圧力が発生し、自分もやってしまうことがわかっています。つまり、10人グループの中で、2~3人が同じテレビ番組をみて「面白い!」と言っていると、「みんな面白いと言っている」と思うようになるのです。
これをビジネスで使うならば、例えばルール決めを議論する際に、あらかじめ根回しをしておいて、出席者の3割の人から同じ意見が上がるようにすれば、そのミーティングの主導権を握ることができるかもしれません。卑怯なやり方だと感じるかもしれませんが、「みんな」はそれくらい大きな力を生みます。
本書では「相手をその気にさせる説得のテクニック」というコンセプトで書かれ、人の心理メカニズムを利用した36の心理テクがつづられています。
人間関係は、いつの時代も私たちに悩みをもたらします。しかし、いつまで悩んでいても、解決はしません。仕事で、家庭で、恋愛で、自分がより優位に立ちたい、相手にもっと好かれたいなどと思っている人は、本書のテクニックを参考にしない手はないはずです。とても分かりやすく書かれており、その効果は「悪用禁止」と著者が冒頭で盛りこむほどのもの。人生を変えてしまう心理テクを、身につけてみませんか?
(新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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