――あれはおもしろかったですね(笑)。現在はどうされているんでしょうか?
矢部 『めちゃイケ』オーディションに参加したことが、また動きだすきっかけになって、今はモデル事務所を経営しています。自分が若い頃にエンタメ業界に目標を持ってやろうとしていたけれど達成できなかった。今なら当時の自分のダメなところや甘かったところ、弱かった部分がわかりますから、若くしてエンタメ業界に目標を持って目指す子たちには、「僕がもっと早い段階で知っていたら、違う生き方をしていたのに」と思い当たることを教えていきたいんですよね。ですので、たとえば目標の立て方など、メンタル的なことを教えています。
――仕事上で浩之さんとかかわられることはあるんでしょうか?
矢部 仕事上で弟とかかわったことは何回かあります。たまたま彼の番組から、僕の経営していた事務所のタレントにオファーがあったということはありましたが、自分から何か弟を利用したというのはありません。しょうもない長男のプライドもあるし、タレントが完成していないのにそんなことをしたら、双方がケガをするというのもあって。お互いが自立していないと、共存できませんからね。自分がしっかりとマネージメントをしてタレントをつくれば、引っかかることもあるかなと。
――矢部さんには、浩之さんと、もうひとり年の離れた弟さんがいらっしゃるんですよね。
矢部 一番下の弟は、僕が高校2年生の時に生まれたんですが、兄弟というより、ひとりっ子のようにして育ってますね。彼が物心をついた頃には、僕も浩之も自立していたし。一番コツコツと真面目に生きようとしていますね。僕と浩之は一攫千金狙いみたいなところがあるんですが、彼は介護の仕事をすると早い段階で決めていましたし。4年ほど前に結婚したんですが、結婚式で久々に兄弟が集まったという感じです。
――子どもの頃のご実家の借金など、ご苦労をされてきた矢部さんの結婚観、家族観とは?
矢部 結婚については、もちろん願望はあります。結婚とか家族とかって距離感が大事な気がしますね。ふたりに兄としてどうなってほしいというのは特にありませんが、それぞれ特殊な仕事なので、彼らのやりたいようにやったらいいかなと。弟はどんな存在か? 今も昔も変わらない普通の弟ですよ。それ以上でも以下でもありません。
(構成=大川内麻里)
●矢部美幸(やべ・よしゆき)
1969年、大阪府生まれ。芸人、パチプロ、20種類以上のアルバイト、タレント事務所代表取締役を経て、現在はモデル事務所・ラフェイス代表取締役。実弟はナインティナインの矢部浩之。著書に自伝的小説『矢部家』がある。