ビジネスでも、プライベートでも、コミュニケーション能力は大事だ。もっと円滑に話を進められたら…と自分の会話力に悩みを抱えている人も少なくないだろう。
では、コミュニケーション能力が高い人は、生まれ持った才能だけで上手に話しているのか? そうではない。常日頃から上手に話すためのトレーニングを積んでいる。
『もう人間関係で悩まない 精神科医がやっている聞き方・話し方』(フォレスト出版刊)の著者であり、精神科医の益田裕介さんも、会話術を学び、日々トレーニングをしているという。
精神科に来院する患者さんは、病気の影響や過去の経験から被害的になりやすいため、精神科医には一般の医師よりも繊細なコミュニケーション技術が求められるからだ。
本書では益田さんが実践している、患者さんの心を開き、心を通わせ、信頼され、治療を受け入れてもらうための「精神科医の会話術」を、具体的な会話例とともに詳しく解説している。
会話は聞き役であることが「前提」
では、会話を通して自分を受け入れてもらうためにはどうすればいいのか。
会話をする上で大前提となることがあるという。
1つ目は「相手が主役」ということ。そのために、まずは相手を尊重する気持ちを持つ。2つ目は、相手は「自分の話を聞きたくはない」という事実だ。自分が話すのではなく、相手に話してもらい、気持ち良くなってもらうことが大切になる。
では、聞き役に徹して相手の話を聞いている益田さんが、どのようなタイミングで自分が話しているのか。話すタイミングを6つ挙げている。
1.ストーリーを展開させるときに話す
2.相手の「間違った認識を正す」ときに伝える
3.相手が「インプットできていない情報」を伝える
4.相手が「ストーリーに乗れていない」ときに話す
5.相手に「会話疲れ」を起こさせないために話す
6.「焦点を当てる」ために伝える
「会話はキャッチボール」とよく言われる。だから、お互いがイーブンイーブンで会話を行っているように思われるが、実際は違うという。
医者と患者さんの会話だけではなく、ビジネスの場面でも、自分が「聴き役」に徹しつつ、あらかじめ構築していたストーリーに乗るように、時々口を挟み、伝えたいことはしっかりと相手に伝えるという「聴く、時々伝える」というスタンスが重要になるのだ。
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本書に書かれている「精神科医の会話術」は、ビジネスやプライベートの大事な場面でのコミュニケーションにおいても、物事を有利に進めることができる。益田さんのアドバイスを参考に、普段から会話のトレーニングを実践してみてはどうだろう。(T・N/新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。