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春の番組改編、一番の“勝ち組”女子アナは…フリー転身したヒロド歩美

文=上杉純也/フリーライター
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ヒロド歩美アナ
ヒロド歩美アナ( Instagramより )

 テレビ局各局の春の番組改編時の目玉のひとつに、多数行われるアナウンサー、キャスターの担当番組異動がある。番組終了後も引き続き、その後に始まる新番組に出演する人もいれば、同時に卒業する人もいる。朝の顔から夜の顔になる人もいる。そんななか浮かび上がるのは、今回の改編で得した“勝ち組”と損した“負け組”の女子アナがいるのではないかという疑問である。そこで、まずは“勝ち組女子アナ”を検証していきたい。

日本テレビ・黒田みゆアナ

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黒田みゆInstagramより

 第5位にランクインしたのは日本テレビの黒田みゆアナだ。入社3年目を迎えた期待の若手である。改編前までは主に『news zero』の月〜水カルチャーコーナーとお天気コーナーのキャスターとして出演していたほか、『バゲット』の隔週月曜レギュラー、BS日テレと日テレNEWS24で放送されている『深層NEWS』の木曜サブキャスターを担当。

 そしてこの春からは、前番組の『スッキリ』と『バゲット』の枠を引き継ぐ形でスタートした月〜金朝の情報番組『DayDay.』のMCに大抜擢された。ほかにMCを務めるのが、NHKからフリーに転身した武田真一アナと南海キャンディーズの山里亮太とあって、当然のように制作サイドも力を入れている。その新番組のMC陣の1人として起用されただけに、局側の期待の大きさがわかろうというものだ。

 ただ、鳴り物入りでスタートしたものの、視聴率は初回が最高で、2回目以降は苦戦が続いている。初回の視聴率は、第1部の平均世帯視聴率が5.0%、個人平均視聴率が2.6%。第2部は世帯3.5%、個人1.8%(いずれもビデオリサーチ調べ・関東地区/以下同)だった。まだ始まったばかりとあって“手探り感”が強いことも影響していると思われるし、結果的に番組が失敗に終わっても黒田アナの責任ではない。

 関西学院大学時代はセント・フォース関西に所属し、第67代今宮戎神社福むすめ(注)の代表にも選ばれた黒田アナは、透き通るような美貌の持ち主。その可憐さで毎回朝を爽やかに彩っている。

(注)大阪府浪速区にある今宮戎神社において毎年1月9〜11日の3日間に行われる十日戎(とうかえびす)で奉仕をする満18〜23歳までの未婚の女性(高校性は除く)。公募で選出されるが、その応募者は毎年3000人を超え、最終的には40名が選ばれる。倍率は75倍といわれるほど人気の狭き門となっており、なかには進藤晶子アナ(元TBS)のように将来女子アナとして活躍する人材を多数輩出。黒田アナは40人の福むすめのなかから“代表”とされる3人のうちの1人にも選ばれている。

TBS・日比麻音子アナ

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日比麻音子Instagramより

 第4位はTBSの日比麻音子アナである。夕方の報道番組『Nスタ』には新人時代の2016年秋から出演しているが、今年1月からタレントのホラン千秋とともに金曜日のメインキャスターを担当。さらに、この春からは月・火のメインキャスターにも就任し、月・火はホラン千秋と、金は井上貴博アナとコンビを組む形となった。入社8年目にして着実に局の“報道の顔”になりつつあるワケだ。

 ありのままの自分で素直に誠実にニュースと向き合う日比アナは、視聴者と一緒に考えながら前進するキャスターでもある。この番組での経験をきっかけにさらに飛躍し、いずれは局を代表する報道キャスターになる可能性を大いに秘めている。現時点で、その最右翼にいるといえよう。

フジテレビ・堤礼実アナ

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堤礼実Instagramより

 第3位は、フジテレビの堤礼実アナだ。堤アナといえば、この3月まで日曜午後に放送中の『みんなのKEIBA』でキャスターを務めていたこともあって、競馬ファンにはお馴染みの存在であった。ところが今回の改編で突然、ニュース番組へ異動。月〜金夜に放送されている『FNN Live News α』の月〜木のメインキャスターに大抜擢されたのだ。

 ニュース番組は、大妻女子大学時代に約7カ月間、『BSフジNEWS』の学生キャスター経験があるものの、2016年4月の入社以後は、ほぼ未経験のジャンルとなっていた。まさに入社8年目の“大転身”となったわけだが、まったく違和感がない。というのも、この番組は深夜帯放送なので、そこに堤アナの声がフィットしているのだ。可愛らしい声に“癒される”のである。さらに、その佇まいも優しく穏やかな雰囲気なので、ギスギスした話題でもみている側はあまり深刻にならない。就寝前に観るニュースとしては最適といえるのだ。

 さらに、30歳を目前に本格的に報道に挑戦するというタイミングも申し分ない。この番組は長らく三田友梨佳アナがメインを務めていたが、昨年末に降板し、フジも退社してしまった。その有力な後継者が現れた感じである。夕方の宮司愛海アナと夜の堤アナ、この2人がこれからのフジの報道の顔になっていきそうだ。

NHK・林田理沙アナ

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NHK公式サイトより

 続いて惜しくも第2位となったのは、NHKの林田理沙アナ。林田アナは2018年4月に東京アナウンス室勤務となったが、それ以降、『NHKニュースおはよう日本』の平日版、『首都圏ネットワーク』『NHKニュース7』の平日版という具合に、NHKが誇る報道番組を次々と網羅。この春の改編で、最後に残った『ニュースウオッチ9』のメインキャスターへと登りつめた。

 NHKはここ数年、“ポスト桑子真帆”と“ポスト和久田麻由子”の育成が喫緊の課題となっていたが、今回の主要番組制覇で林田アナがその最有力候補に躍り出た印象である。彼女は新人時代から落ち着いた雰囲気が並外れていて、特にニュースリード(ニュース原稿の内容を要約した文章のこと。ニュースリードに続き、ニュース本文が始まる)を読む際の淡々とした佇まいが、みるものに安心感を与えていた。まさにニュースキャスター向きだったといえる。

 その一方、リポートなどで見せる姿は“笑顔が可愛い癒し系”で、親しみやすさに溢れている。まさに“看板アナ”に相応しい条件を兼ね備えているのだ。今回の『ニュースウオッチ9』抜擢がひとつの大きなターニングポイントになるのではないだろうか。

フリー・ヒロド歩美アナ

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ヒロド歩美Instagramより

 最後に注目の第1位である。この春の番組改編を機に大阪の朝日放送テレビを退社し、フリーアナウンサーに転身したヒロド歩美アナで文句なしだ。フリー転向直後から『報道ステーション』(テレビ朝日系)でスポーツキャスターを担当し、一躍注目の存在となっている。

 ヒロドアナは関西が誇るエースアナだったが、局アナ時代から『芸能人格付けチェック』などの全国放送の番組に多数レギュラー出演していたため、その人気は関西のみならず、すでに全国区だった。まさに満を持してのフリー転向であり、今回の『報ステ』のスポーツキャスター起用は、その実力と人気が認められた証しにほかならない。

 特にプロ野球関連では、局アナになって2年目の2015年4月から阪神タイガース戦の中継の際にベンチリポートを担当(関西圏での阪神主催試合限定)していたこともあり、福留孝介や藤川球児ら当時のベテラン勢からも一目置かれる存在になっていた。彼女自身は当然のように阪神ファンなのだが、それにもかかわらず他球団の選手からの信頼を勝ち取っている点も見逃せない。

 先のWBCのときのキャンプ取材でも注目の的となっていたように、とにかく球界にはヒロドアナのファンが多数おり、存在感が抜群なのである。唯一気になるのが、『熱闘甲子園』のキャスターの座がどうなるのかということ。全国の甲子園ファンにとって今や“高校野球取材ならヒロド歩美”というイメージが完全に定着し、球児からもお姉さん的存在として慕われているからだ。

 その一方で、今年はバスケットとラグビーのワールドカップが、さらに来年夏にはパリオリンピックというように、次々とスポーツ界のビッグイベントが控えている。スポーツキャスターとしてさらに大きく飛躍する、またとないチャンスだ。ヒロドアナの今後のますますの活躍に期待が膨らむばかりである。

上杉純也/フリーライター

上杉純也/フリーライター

出版社、編集プロダクション勤務を経てフリーのライター兼編集者に。ドラマ、女優、アイドル、映画、バラエティ、野球など主にエンタメ系のジャンルを手掛ける。主な著作に『テレビドラマの仕事人たち』(KKベストセラーズ・共著)、『甲子園あるある(春のセンバツ編)』(オークラ出版)、『甲子園決勝 因縁の名勝負20』(トランスワールドジャパン株式会社)などがある。

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