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雑務を率先して行う“皿洗い上司”が組織を滅ぼす?現実逃避に走る上司たち

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スタッフの信用を得ているので、良い行動なのではないですか?

粟津 しばらくして、その店は売り上げ低迷により潰れてしまいました。店長が真摯に仕事をしていたのに、売り上げが伸びなかったという話ではありません。むしろ、その店長は真摯ではなかったといえるのです。

–具体的には、どのようなことでしょうか?

粟津 店長が毎日皿洗いをしていたのには、別の理由がありました。潰れるずいぶん前からすでに売り上げが低下しており、店長はもちろんそれに気づいていました。しかし、売り上げを上げる良い方法が見つからず、スタッフから「怠けている」と思われないために、目先にある雑務をこなし、現実逃避していたのです。

 とりあえず、皿を洗っていれば「一生懸命仕事をしている」と周りに思ってもらえると考えて、その狙い通りスタッフからは評価を得ていましたが、結果、お店は潰れたのです。一生懸命な仕事ぶりに見えて、この店長の皿洗いは職務放棄だったといえるのです。

●皿洗い上司は結構多い?

 これは当然のことで、役職者がなすべき仕事をしなければ会社は潰れます。日本には、こういった「皿洗い上司」が多いと、粟津氏はいいます。

 本来、その上司当人にしかできない仕事を放棄していても、周囲からは一生懸命頑張っているように見えてしまうところに皿洗い上司の問題点が隠れています。上司がこのような思考や行動に陥ると、例外なく、その組織を弱体化させ、時には崩壊に導いてしまいます。

 身の回りの上司、もしくは自分自身が皿洗い上司になっていないか、改めて見つめ直してみてはいかがでしょうか。
(文=尾藤克之/経営コンサルタント)

●尾藤克之(びとう・かつゆき)
東京都出身。経営コンサルタント。代議士秘書、大手コンサルティング会社、IT系上場企業等の役員を経て現職。人間の内面にフォーカスしたEQメソッド導入に定評。リスクマネジメント協会「正会員認定資格HCRM」、ツヴァイ「結婚EQ診断」監修等の実績。著書に『ドロのかぶり方』(マイナビ新書)、『キーパーソンを味方につける技術』(ダイヤモンド社)など多数。

BusinessJournal編集部

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