サッカーワールドカップが閉幕して、はや2ヶ月。新しい指揮官を迎え、日本代表は4年後のロシアワールドカップに向けてスタートを切っています。
ブラジル大会で予選敗退に終わった日本代表の課題として「チーム力」を挙げる評論家が多くいましたが、ビジネスの世界でも「チーム力」は大きな課題の一つでしょう。どうすればチームを団結させられるか、一人ひとりが協力しあうにはどうすればいいか……こうしたことに頭を悩ます方におすすめの一冊があります。
チーム研究の第一人者である著者が「チームワークの原理原則」について説いた『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』(エイミー・C・エドモンドソン/著、野津智子/訳、英治出版/刊)です。本書では、ハーバード・ビジネススクール教授である著者が20年の研究成果をもとに、次の問いへの答えを解き明かしていきます。
これまでのように、物理的に同じ場所にいて、信頼を築く時間がある、固定された集団ではなく、メンバーが世界中にいて、プロジェクト終了とともに解散する、流動的な集団である「チーム」を機能させるためには何が必要なのだろう?
サッカーで例えると、前者のような固定された集団は、日々顔を合わせる「クラブチーム」。後者のような流動的な集団は、大会や合宿のときだけ集まる「代表チーム」だと言えます。サッカーに限らず、ビジネス界においても、あるプロジェクトが発足し、チームメンバーは世界中にいて、目的達成と同時に解散して、メンバーはまた次のプロジェクトに加わる、といった仕事のスタイルが決して珍しくありません。
そんななか、チームを率いるリーダーは、どんなことに注意してメンバーをまとめ上げていけばよいのでしょうか? 本書では、「チーミング」という著者オリジナルの概念をもとに、チームワークを発揮するために大切なことを説いていきます。
■チームとしての「当たり前」ができるようにする
「チーミング」とは、新たなアイデアを生み出し、何かの問題を解決するためにメンバーを団結させるチームワークのこと。具体的には、「チーミング」は次の4つの行動から成っています。
1.率直に意見を言う
2.協働する
3.試みる
4.省察する