そうすると、エージェントを使用できないポジションの採用は、「どのような取り組みを行えば、もっと効果的に採用できるのか?」を考えざるを得ないので、さまざまなアイディアが生まれてきます。当社は他の外資系企業や日本企業に先駆けて「エージェントを使う採用は行わない」ことをルール化したため、他社では真似できないノウハウを蓄積することができました。
ーー効率の良い採用を行うために、具体的にどのようなことを行っているのでしょうか?
B氏 効率の良い採用活動を行うためには、常に労働市場の動向を正確に理解している必要があります。例えば、弊社のケースではありませんが、「スマホ関連の開発系エンジニアを採用したい」というケースでは、まさに人材の取り合いの状況です。採用コストを抑えて候補者複数名を一挙に揃えることは、至難の業といっていいでしょう。でも、○○のスキルを持ったエンジニアなら「3人くらいは○○を使えば、○日で集まるな」という具体的なイメージが自分の中にあれば、さまざまな工夫ができます。
もし、市場にほとんどいないとわかっている候補者の採用なら、「候補者は恐らく1人しか紹介できませんが、その1人で決めてもらえますか? もし無理なら3カ月かけて採用活動を行いましょう」という交渉もできますし、「この募集要件なら、すぐに候補者を5人くらい出せますから、複数枚のResumeをじっくり読んで、その中からより要望に合う人に会ってください」と採用予定のマネージャーに提案できます。
また、求人広告やエージェントについても、どこが、どんな特徴を持っているかについて、すべて頭の中に入れています。リクナビは○○、マイナビは○○。大手登録型人材紹介会社には○○の登録が多い、外資系ヘッドハンターは○○の採用に強い、など全部把握した上で適切なソースに投資していきます。
それで、
「この求人ならば、enとマイナビに○○万円の求人広告で採れる」
「これは○○会社社員の引き抜きを狙わないと無理だろう」
と無駄なく判断できます。
もしこうした情報を把握していないと、「予算を100万円もらったので、とりあえずこことここに求人を出そう」というような無計画で費用対効果の薄い投資になってしまい「応募者500人来ました。書類が通ったのは20人でした」ということになります。
それより、「応募者は30人でも、書類審査に通ったのは20人」というほうが、良い結果になります。
つまり、マスに対する大量な、数を重視した候補者集めをやめ、より最適なチャネルに、効果的な募集方法で、優秀な候補者とダイレクトにつながる。これで、無駄なオペレーションを減らして、人事の工数を減らし、年間数百名の採用活動をなんとか回せるようになります。
(構成=編集部)
※後編へ続く