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【2】ライブドア証券元副社長、IGPIパートナー塩野誠が語る(1)

もしグーグルが日本で起業していたら成功したか?

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(2)小さいビジネスが回っていて、チャリンチャリンとお金が入ってくるビジネスです。着実な収益性がある場合は、その規模を膨らませる、成長させることに出資しようとするわけです。最近のソーシャルゲームなどのビジネスモデルがそうですね。細かく課金し、ユーザーからお金が取れる。これをスケール(成長)させていったのが、今のソーシャルゲーム業界です。

(3)これらのビジネスを支えるバックボーンとして、ビジネスのアイディアが経営者の中から出ているかどうかです。どんなビジネスでもそうですが、ビジネスを続けているうちに、迷うことがある。その時に、「あれ? どうしてオレはこのビジネスを始めたんだっけ?」と戻る場所がないと続かないんです。そうすると、結局企業として成長する以前にやめてしまうことになる。マネタイズするまで生き残れないのです。

誰の何を解決するのか?

――現在のITベンチャー企業経営者に対して感じることは?

塩野 ネットベンチャーの人たちによく聞くのは、「そのサービスは、誰の何を解決しているサービスなのか?」ということです。この問いに答えられないと、しようがない。グーグルのコンセプトは「1クリックで世界の情報にアクセス」でした。登場してきた時はよくわからなかったのですが、今ではその通りだなと思いますよ。しかし、今のベンチャー経営者の中で、このような回答をずばっと返してくれる人は少ないですね。長い説明は意味がない。長い説明というのは、本人もわかっていない証拠です。私がIGPIで支援しているKDDI∞ラボで、ITベンチャー企業経営者とコンセプトを練る作業をする時も、私からのこの投げかけに対して、ワンメッセージで答えられるかという禅問答のようなことを繰り返していきます。そうすることで、大きなぶれない軸ができていく。でも最初から、ずばっとその軸を答えてくれる経営者が少なくなりました。

――そうした傾向には、どのような背景があるのでしょうか?

塩野 日本では、起業家の数が圧倒的に足りないからです。環境的な要因としては、若者の保守化が進行しています。今、「新入社員が入社した会社に終身雇用でずっといたい率」が、統計を取り始めてから最も高いらしいんですね。これはどういうことかといえば、日本の新卒のうちアッパーの5%、例えば東大卒でプログラムを書けるというような優秀な人材は、「起業しよう」「世の中を変えてやろう」といった野望を持っています。この層のマインドは変わらない。でも3.11以降、中間を占める80%以上の人たち、ごく普通の人達は、自信がないからなのか、大企業にすがりついてでも生きていきたいという人が増えた。この層の保守化が進行しているのです。

――それはなぜでしょうか?

BusinessJournal編集部

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