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松原聡(東洋大学 経済学部・総合政策学科教授)

松原聡「最新の原発事情と民主主義を考える」

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中部電力HPより
小泉純一郎内閣時に郵政懇談会委員を務めるなど、さまざまな政府委員を歴任してきた、東洋大学経済学部教授の松原聡氏が、政治経済の観点からニュース記事を読み解き、時には政治へ、そして社会へ提言を行う!

エネ政策聴取会:中部電課長も発言 原発推進、会場騒然 – 毎日新聞(7月16日)

政府のエネルギー政策意見聴取会で、「実質的やらせ」疑惑。広告代理店に事務局を任せた政府に責任。

 市民からの原発政策の意見聴取の場で、電力会社関係者の原発擁護発言に、異論続出。原発推進か否かは別にして、この意見聴取自体はまったくおかしい。広告代理店任せで、中立、客観的な意見聴取などできるわけない。そもそも、広告代理店にとって、電力会社は最大級の広告主。その意向に沿いたいとなるのが当然と見られても仕方ない。事実、電力会社関係者という、利害関係者を登壇させている。

 この市民からの意見聴取を、広告代理店に任せた政府の見識を疑う。


電力の選択肢―熟議を生かす工夫を
– 朝日新聞(6月30日)
討論型世論調査、夏に導入 政府、原発比率決定の参考に – 朝日新聞(6月20日)

原発の是非。討論型世論調査への期待

 政府は、原発の是非について「討論型世論調査(DP)」を活用する方針を固めた。市民からの意見聴取には、希望者を募る「タウンミーティング」型と、無作為抽出の「世論調査」型がある。タウンミーティング型では、利害関係者が集まる傾向が強い。エネルギー政策の聴取会では、参加希望者は数百人程度。ここに電力会社社員が数百人応募すれば、抽選をしても参加者の半分が電力会社社員になってしまう。

 一方、世論調査は、市民全体を対象として無作為抽出するため、ある問題について十分な知識がないままに回答される可能性もある。この討論型世論調査とは、無作為抽出した対象者を集めて、議論した上で再度意見聴取する、というものである。ここで出た意見は、市民が知識を高めて、議論した結果のものなので、政策に反映させる価値があるものとなる。

広告代理店任せのタウンミーティングに代わる、討論型世論調査の活用を政府に期待したい。

緊急大拡散【7/20金曜!白い風船ヴォランティア募集】 - Twitter【田中康夫@loveyassy】(7月16日 8:04)

原発集会に、主催者発表で17万人

 7月16日午後、代々木公園で開催された「さようなら原発17万人集会」に、主催者発表で17万人もの人が集まった。呼びかけ人の田中康夫さんのこういったツイートが動員に大きく寄与してきたのだろう。

 集会の自由を活用しよう

日本国憲法第21条〔表現の自由〕に「1 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」と、集会による意見表明の自由が認められている。それにしては、最近、日本での大規模な集会、デモが見られなかった。

 原発集会への多くの市民の参加、民主主義の原点である表現の自由を、実際に行動して示すものとして歓迎したい。原発推進集会があって然るべきなのはいうまでもない。スウェーデンでは、労働者の権利の保障に対して、経営者が「過度すぎる」とデモを行っていたのを思い出した件。

こちらも参考に。

なぜ日本人は、民主主義国家では日常茶飯事の「デモ」に消極的なのか - ダイヤモンド・オンライン(2010年11月18日)