PGMは11月15日、アコーディアの株式を1株あたり8万1000円でTOBをすると発表。11月30日にTOBを開始した。
これに対してアコーディアは、会社としてTOBへの賛否を「留保」していた。アコーディアの取締役会は12月3日、出席した取締役全員一致でPGMからのTOBに反対する決議を行った。
アコーディアの鎌田隆介社長の反対意見は次の通りだ。
(2)買付価格がアコーディアの企業価値に照らして不十分である(低いということ)。
(3)アコーディアに特別の資本関係を構築してから経営統合、事業運営方針等の協議を進めるというのがPGMの買い付け(TOB)の目的である。
(4)PGMは公開買い付け後の具体的な条件を明らかにしていない。経営統合に際し、アコーディアの株主に不利益が及ぶ可能性がある。
(5)公開買い付けという極めて不公正で強圧的な買収方法を採用している。
このように、アコーディアはPGMによる公開買い付けに反対するとともに、TOBへの対抗策として2013年3月期の期末配当を1600円から5500円に引き上げる方針を発表した。株主還元策を拡大し、PGMのTOBが成立するのを阻止する構えだ。
すでにTOBに応募したアコーディアの株主に対しては、応募契約を解除するよう呼びかけた。
これに対してPGMは同日夕方、アコーディアに対するTOBを継続すると表明した。かくしてPGMによるアコーディアのTOBは、全面戦争に突入した。
両陣営にはM&A(合併・買収)のプロたちが軍師としてついた。アコーディアのM&Aの指南役を務めるフィナンシャルアドバイザー(FA)は、大和証券グループ本社傘下の大和証券。PGMはバークレイズ証券をFAに起用した。
アコーディア陣営は、TOBの対抗策として大幅な増配を打ち出した。鎌田社長は「焦土作戦ではない」と釈明しているが、これは明らかに焦土作戦だ。
焦土作戦は敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収される企業が、自社の重要な資産や事業部門を手放すことによって、買収を画策する企業の成果を事前に減らす手法だ。買収される企業の価値が減少するため、間接的ながら買収を防止する効果がある。一方で、この手法は既存の株主の資産価値をも低下させる。そのため既存株主の同意・支持が必要となる。