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日銀新総裁、黒田氏有力との報道あるも、依然流動的との見方強い…財務省の本音は武藤氏か

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日銀新総裁に黒田氏有力と報じる
2月23日付朝日新聞より
 日本銀行の総裁人事が大詰めを迎えている。人事をめぐっては、報道合戦も熱を帯びている。候補者として名前が挙がっているのは、

 ・武藤敏郎 大和総研理事長(元財務事務次官) 
 ・黒田東彦 アジア開発銀行総裁(元財務官)
 ・伊藤隆敏 東京大学大学院教授
 ・岩田規久男 学習院大学教授
 ・岩田一政 日本経済研究センター理事長

などだ。

 2月15日前後には「武藤氏が最有力」と外資系通信社が報じ、本日(2月23日)付朝日新聞は、黒田氏の起用を軸に調整と伝えている。ただ、いずれも断定的な表現ではない。与野党の国会対策委員長協議で、「事前報道ルール」(事前に報道された候補者には同意しない)が撤廃されたことで、報道サイドも観測を打ち上げやすくなった面がある。

 ただ、報道の情報元は周辺筋から出ているものばかりで、首相や官房長官という人事の要からは、一切漏れてきていないという。この点がこれまでの内閣とは違うところだ。

 ただ、やはり周辺の関係者によれば、現時点では黒田氏が本命視されているもよう。黒田氏は財務省時代、1999年から2003年まで通貨政策を仕切る財務官を務め、国際人脈も豊富。何より省内では数少ない金融緩和論者でもある。問題は、黒田氏はアジア開発銀行総裁としての任期が残っており、日銀総裁に転じた場合、その後任が懸念材料となる点だ。「歴代総裁は日本から選出しているが、このポストを中国などが狙っているとの観測も浮上している」(国際金融筋)という。後任問題に道筋がつくなら、黒田氏で固まる公算がある。

 一方、財務省が総裁と副総裁の組み合わせを考慮しているとの見方もある。財務省は武藤氏を送り込みたいが、失敗して副総裁ポストまで失っては意味がないとし、黒田氏で妥協した可能性がある。武藤氏が一時有力視されながら可能性が薄くなっている背景には、内閣やマーケットの理解を得られにくいことが要因と見られる。財務省は、同省OBを最低でも副総裁には送り込みたいとの意向があるようだ。

 また、麻生太郎副総理・財務・金融相は、組織を率いた経験のない人物が総裁に就くことに否定的な見解を示している。この点では学者出身は除外され、登用されても副総裁の公算が大きい。その一方、財務省出身以外では日銀元副総裁の岩田一政氏にはリーダーとしての資質があるとの評価があるもよう。ある市場筋によれば、

「金融緩和により積極的な岩田氏を総裁とし、国際金融に精通している黒田氏をサポート役として副総裁に置く」

などの案も想定されるという。武藤氏は総裁でない場合、副総裁ではなく、東京証券取引所などほかのポストを模索するとの見方もある。また、副総裁2枠の1つには、日銀出身者があてられるもよう。

 安倍晋三首相は日米首脳会談を終え、24日に帰国する。人事を具体化するのはそれからであり、連立を組む公明党と協議し、その後民主党など野党の協議を行なう。民主党は財務省出身者を否定していないものの、みんなの党は財務省OBには否定的で、黒田氏でも反対する可能性がある。

 岩田氏についてもみんなの党は金融緩和解除時の副総裁だったとして、やはり否定の構えを見せている。ねじれている参院での駆け引き次第によっては、黒田氏以外の可能性も残されている。いずれにしても、現時点では流動的な要素が多いとみられる。
(文=和島英樹/ラジオNIKKEI記者)