運営元は、朝日新聞社と米国のザ・ハフィントン・ポスト・メディアグループが4月23日に立ち上げた合弁会社、ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパンだ。イギリス、カナダ、フランス、スペイン、イタリアなどの世界各地で展開しており、日本はアジア初の6ヵ国目となる。9月にはドイツ版がスタートする予定だ。
米国のサービスは2005年にスタートした。現在は政治や経済、健康、エンターテインメントなど50のジャンルをカバーし、3万人以上のブロガーから寄稿を集めている。13年1月時点で月間4600万人の訪問者数、800万件の投稿数を数えるとのこと。11年にAOLがサイトを買収し、12年には、イラクやアフガニスタンの戦争で負傷した米兵についての連載記事で、ジャーナリズムの最高峰であるピューリッツアー賞を獲得した。
先ほど14時〜開かれたローンチ発表会では、ザ・ハフィントン・ポストのプレジデント兼編集長のアリアナ・ハフィントン氏が登壇。「アジアで最初にローンチできるのを嬉しく思っています」と感謝をのべ、次のように健康分野における日本への期待を語った。
「欧米ではさまざまなストレスをどうやって緩和して、どうやって精神的な静けさを得るのかという関心が高まっている。こちらに来る前に神社を訪れて座禅などをしたが、そこで確信したのが、日本こそ人間の生活に深くかかわったこの分野で貢献できる国だと感じた。今、日本は人口の減少や女性の社会的役割、ワークライフバランス、自殺などさまざまな問題も抱えています。これに対する回答が、日本の豊かな精神的な伝統の中に見つけられるかもしれない。ハフィントン・ポスト・ジャパンとしても、みなさまからの声を集め、プラットフォームとなって対話を促していきたい」(ハフィントン氏)
日本の意見は翻訳して世界のサイトに届けられるとのこと。ハフィントン氏は「翻訳を通して真なるグローバルの対話が交わされていくことになる」と自信を見せる。
ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパンの編集長である松浦茂樹氏は、「団塊ジュニア世代に意見を発信してもらうことがテーマ」とターゲットについて触れた。「私自身も1974年生まれの団塊ジュニア世代のまっただ中。人口ピラミッドでは層が厚いのにもかかわらず、その声が聞こえてないのではないか。我々の世代が10年後、社会的な責務が最も重くなる頃までに意見を集約していきたい」と展望を語った。
朝日新聞社代表取締役社長・木村伊量氏は、「私たち朝日新聞社が特に期待しているのは、インターネット上で言論空間を作り上げる推進色であります。ハフィントンポストを彩るニュース記事やブログ、寄せるコメントFacebookのシェアなどソーシャルアクションを通じて拡散していく読者の意思表示。そのひとつひとつが、時代の進むべき道を照らし出していると思う」と期待を寄せた。
(取材・文=広田稔)