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「ダイヤモンド」vs「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(5月第2週)

不動産市場、バブルの様相 今は買い時ではないワケ…買ってよい/ダメなエリアとは?

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(「Thinkstock」より)
毎日の仕事に忙殺されて雑誌を読む間もないビジネスマン必読! 2大週刊経済誌「週刊東洋経済」(東洋経済新報社)と「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)の中から、今回は「東洋経済」の特集をピックアップし、最新の経済動向を紹介します。

「週刊東洋経済 5/11号」の特集は『不動産 2極化時代 勝ち組物件の見分け方』だ。

「黒田東彦総裁の下、日本銀行が世界中を驚かせた4月4日の『異次元緩和』以降、投資マネーの動きが活発化。金融緩和翌日の株式市場では、上昇率上位50銘柄のうち半数以上を不動産関連株が占め、まるで不動産バブル再来の幕が切って落とされたかのような様相だ。

 明るさが見え始めた不動産市場だが、業界関係者が今後のキーワードとして口をそろえるのが『二極化』だ。新しく耐震性が優れ立地もよいオフィスビルは活況だが、空室がなかなか埋まらないオフィスビルもあるという。投資マネーが触手を伸ばしているのも賃料上昇が見込める優良物件に限られている」。  今号はその物件の見分け方を特集する。

『[part1 マンション編]「住宅すごろく」第2幕 都心への逆流が始まった』では、「いまは賃貸アパートだが、いつかはマンション、そして戸建住宅……」という「住宅すごろく」のゴールとして持ち家需要の受け皿となっていた郊外は、住民の高齢化が進展。若い世代はこうした高齢化した郊外を敬遠し、職住近接の都市部のマンションにだけ興味を示す。

 地価にも同様の傾向が表れている。「都心部の中央区・月島、千代田区・市ヶ谷、さらに駅周辺に大型マンション供給が相次いだ川崎市・武蔵小杉は過去10年で地価が上昇。一方、埼玉・所沢、千葉・柏などの郊外エリアは地価下落が続いている」。

『[part2 オフィスビル編] 賃料は底打ちだが好立地・高機能ビルに人気集中』では、オフィスビルなどの収益物件には、国内外ファンドやREIT(不動産投資信託)、富裕層の投資家などからの引き合いが強まっているが、人気が集中しているのは耐震性が優れ立地もよい物件だ。

 つまり、少子高齢化による人口減少時代を迎え、立地が「勝ち組」物件かどうかを決める目安になってくるということだ。

 国立社会保障・人口問題研究所が3月に発表した「日本の地域別将来推計人口」によると、「首都圏で2010から2025年の間に人口が増える」と予測されている自治体の上位には、横浜・都筑区(1位・17.1%増)、東京・中央区(2位・16.6%増)、川崎・高津区(3位・10%増)、千葉・緑区(4位・8.8%増)、川崎・麻生区(5位・8.2%増)といったエリアが並んでいる。一方、人口の減少率が大きい自治体には、神奈川・横須賀市(1位・10.7%減)、東京・青梅市(2位・10.6%減)、埼玉・三郷市(3位・9.3%減)、千葉・我孫子市(4位・8.7%減)、埼玉・深谷市(同率5位・8.4%減)、東京・足立区(同率5位・8.4%減)と都心まで比較的時間を要する地域が目立つ。

 特集では2025年までのデータしか紹介されていないが、インターネット上で簡単に入手できて、もっと衝撃的なのが、「首都圏で2010から2040年の間に人口が増える」と予測されている自治体のデータだ(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/1kouhyo/gaiyo_4-1.pdf)。2040年といえば、今から、30年の住宅ローンを組んだ場合、やっと残債が見えてきたころだ。ローンを30年支払ってきた方々にとっては今後その物件をどうするか見直す時期でもある。

「首都圏で2010から2040年の間に人口が増える」と予測されている自治体の上位は横浜・都筑区(1位・25.2%増)、東京・中央区(2位・16.6%増)、川崎・高津区(3位・11.1%増)、千葉・緑区(4位・8.7%増)、東京・江東区(5位・8.5%増)、川崎・麻生区(6位・7.5%増)といったエリアが並んでいる。

 一方で、人口の減少率が大きい自治体には、神奈川・横須賀市(同率1位・25.3%減)、東京・青梅市(同率1位・25.3%減)、埼玉・三郷市(3位・25.2%減)、千葉・花見川区(4位・23.3%減)、埼玉・春日部市(5位・22.1%減)とほぼ4分の1の人口が減ってしまうエリアが続々と出てくるのだ。なお、「2025年まで減少率」同率5位だった東京・足立区は21.3%減で、埼玉・深谷市(6位・21.5%減)に続いて7位だ。こうしたエリアは「飛びついてはいけない」エリアということになる。

 地域の人口動態は消費や賃貸などの経済活動を通して、地価に影響を与えるため、人口減少地域では今後、地価の上昇は見込みにくい。それどころか、2040年、30年の住宅ローンを組んでやっと残債が残りわずかに、いっそのこと物件を売ってしまおうと考えても、買い手がいない……という事態に陥りかねないのだ。注意が必要だ。

 なお、「週刊エコノミスト 5/14号」の特集も『資産インフレでどうなる 不動産と相続』と不動産特集だ。「エコノミスト」は記事『REIT過熱 REITを買うなら「今じゃないでしょう!」』(現在1500ポイントの東証REIT指数は1300ポイントの調整局面まで待つべき)、「どうなる?地価 東京を中心に上昇基調も 投資家・銀行は慎重姿勢」(2000年代に傷ついたミニバブルの記憶から慎重に投資)、「どうなる?オフィス賃料 今年半ばに反転の可能性 利便性でエリアは選別」といった不動産バブルへの懐疑的な見方の記事が並んでおり、買いどきを煽ったライバル誌「週刊ダイヤモンド」4/20号特集『今、買うならこれだ! マル得マンション』との差別化が図られている。

 経済3誌がこの春の不動産動向に関する特集を組んだことになる。経済3誌を見た結論からいえば、現在は異次元金融緩和によるマネー流入が一部の価格(株式、不動産価格)を押し上げている。このため、現在、不動産に手を出すのは、高値づかみの可能性が高い。改正された相続税対策でどうしても買わざるを得ないという富裕層以外は買う必要はないのではないか。

 もし、それでも買うとすれば、人口増加率が見込まれるエリアを選ぶのが賢明ということになる(しかし、そういったエリアはすでに高値だ)。実際に買って住むという人は、今回のバブルがはじけるまでお金を貯める。地価が落ち着いた数年後に、中古物件を買い叩けばいいということだろうか(対個人の中古物件売買は消費税の対象とならないために2014年、2015年の消費増税にも左右されない)。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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