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ダマされないための「儲けのカラクリ」 第18回

消費動向データが示す、消費者の意外なニーズと、“変わらない”消費トレンド&金額

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「Thinkstock」より
 さまざまなテレビ番組や雑誌などでもお馴染みの購買/調達コンサルタント・坂口孝則。いま、大手中小問わず企業から引く手あまたのコスト削減のプロが、アイドル、牛丼から最新の企業動向まで、硬軟問わずあの「儲けのカラクリ」を暴露! そこにはある共通点が見えてくる!?

●あの商品が売れる、ほんとうの理由

 消費動向データやアンケートはいつも、消費者の意外な側面を照らしてくれる。かつて、ノンアルコールビール購入の理由1位が「飲酒運転を避ける」ではなく「アルコールを飲めない体質のひとが飲み会で場を壊さないため」でもなく、「安いから」だったときには瞠目した。

 自動掃除機ルンバが売れている。その理由は、高齢者がコンセントを抜き差しするために何度もしゃがむ必要がないからだという。電子書籍リーダーが売れる理由は、読書中の本のタイトルを隠したいからだという。これらは購買理由1位ではないものの、ときとしてマーケッターも想像しなかった消費者欲求を明らかにする。

 私事で恐縮なものの、私が上梓している小売業・製造業のバイヤー向けの本も、その少なからぬ読者が営業職だった。相手の思考法を知って営業活動に生かしたいという。最近では、営業職向けの講演依頼がより増えている。

 そして、消費データはもうひとつ興味深い事実を教えてくれる。それは、ミクロな消費レベルではさまざまなトレンドがあり、個別商品の売れ行きはさまざまで栄枯盛衰があるものの、マクロなレベルでの消費金額は、ちょっとずつしか変化しない事実だ。

 例えば、ネット調査最大手マクロミルがHP上で無償提供している調査データ「MACROMILL WEEKLY INDEX」の「消費インデックス」「今週の消費金額」を見てみよう。

 今年の消費トレンドは、昨年とほぼ同様の動きをしている。たしかに週によっては差があるところもある。ただ、12月は年末商戦とクリスマスで盛り上がり、ゴールデンウィークや夏休みに消費が活性化する傾向はさほど変わらない。このデータのみから、有効な差異を見つけられるひとはいないだろう。

●企業は劇的に、個人はゆっくりとした変化を特徴とする

 いや、だからこのデータが役立たないわけではない。これはマクロな消費トレンドがほとんど昨年と差がない事実を教えてくれる。よって、これ以降も昨年同様の動きをすると予知できるだろう。

 もちろん、マクロな消費トレンドがまったく変化しないわけではない。それは徐々に、徐々に、移り変わるので、これを10年、20年ほど重ねれば、私たちの消費活動変化も理解できるだろう。上記調査データで経年変化を注視する意味はある。実際、このデータによると、消費金額の波はほぼ同じ動きを見せながら、昨年の同時期と比較すると消費金額自体がじわじわと下がっている。

 ただ、それにしても企業の売上や支出が、劇的に移り変わる中(例えば鉄鋼業でいえば、2013年1~3月期の設備投資は前年比19%も減り、電気機械業では31%も減り、物品賃貸業では51%も増えた!)、個人の消費はゆっくりとしか変化しないものだ。

 これだけ個性が叫ばれる時代にあっても、上記調査データの「過去1週間のモノやサービスの消費実績」によると、「プレゼント・ギフト」を買い「食事会・飲み会」が増えるのは12月だし、「家族との外食」は予想通り、大型連休・夏休み・年末年始に増える。私たちは、なんだかんだいいながら、いったん決まったライフスタイルを変えられないらしい。ほぼ同じ動きを繰り返している。

●消費データとの付き合い方

「なんですかい? ということは結局、こんなデータなんて役立たないと?」
「だから言っただろ、そんなことはない。あんまり変わらないって意味で有益だって」
「そりゃ皮肉じゃないの?」
「違うよ。消費行動が短期間で劇的に変わらないのは当然なんだ」
「そうですか。最近はデータ分析がはやっていますよね。上記調査データとは違うけど、ビッグデータさえ分析すればいいっていう潮流が……」
「まあ、ビッグデータはマクロな消費金額を当てるものじゃないし。それに、ビッグデータでも完全に消費行動を予想できるはずがないよ。『予想』を入れ替えたら、『ウソよ』だからね」
「まあ、たしかに大きい家族だからって、そこから家族生活の普遍性なんて導けるはずもない」
「それは、ビッグデータじゃなくて、ビッグダディだよな」
「まあ同じB・Dですからね」
「J・Bみたいだな」
「J・Bって?」
「ジェームス・ブラウンでしょ」
「ああ、日本接骨師会(J・B)の略かと思った」
「たしかに、ビッグダディは整骨院やっていたからね」
「B・J(Business Journal)ゆえに、芸能ネタのオチですか?」
「このコラム自体がB・J(Babyish Joke~子供じみたくだらない冗談)ってことで許してもらえないか」
「消費トレンドを分析して、ビジネスのヒントを伝えろ」
「いや、『消費トレンド』をいじくっても『どーしよう、ヒント0』になるんだ」

 まじめな読者に一言申し上げたい。

 ごめん。
(文=坂口孝則/購買・調達コンサルタント、未来調達研究所株式会社取締役)

●坂口孝則(さかぐち・たかのり)
関西の某国立大学卒業後、携帯電話メーカーへ。購買部に配属される。バイヤーとして担当したのは200社以上。株式会社アジルアソシエイツ取締役、未来調達研究所取締役(現職)。バイヤー同士の情報交換ができる場、購買ネットワーク会発起人。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。メルマガ「世界一のバイヤーになってみろ!!」代表執筆者。コスト削減のコンサルタント、調達業務研究家。物流コンサルタント。

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