「かつてのエイベックスでは考えられない。こんなスキャンダルが表沙汰になるなんて、企業としてガバナンス(企業統治)がまったく効いていない現れです。松浦社長のカリスマ性も限界にきている」(エイベックス関係者)
所属するアーティストの“凋落ぶり”を指摘する声も、ネット上などでは頻繁に見られる。かつてのトップアーティストの浜崎あゆみが「NUMERO TOKYO」(扶桑社/10月号)で自宅を初公開。デビュー15周年特別企画と銘打って、黒いランジェリー姿のショットも撮らせるなど出血大サービスをしたが、
「もう歌で勝負できないから、私生活を切り売りしてる?」
「ベールに包まれた歌姫だったからこそ良かったのに。人間・あゆは見たくない」
などとネットでの評判は散々なものだった。また、ブレイクする新人が出てこないことで、松浦社長本人の目利き力についても、業界内からは疑問の声が上がっている。
音楽業界関係者は、エイベックスの現状について次のように解説する。
「今や利益の約半分を韓流コンテンツや動画配信による収入に頼っている。あゆをはじめ知名度の高いアーティストは依然として多く所属していますが、彼らも最近はヒット曲に恵まれていない。グループ全体の売上高だけを見るとさしたる問題はないが、核である音楽事業に展望が見えない」
今年度の第1四半期決算(4〜6月)によると、メインの音楽事業の売上高は、前年同期比で13.1%減だが、映像事業は映像配信サービスの会員が大幅に増加したことで、売上高は前年同期比で98.2%も伸びた。
貢献したのは、ソフトバンクモバイル(東京・港区)のスマートフォン(スマホ)向けに展開する総合エンタメアプリ・UULAだ。映像や音楽コンテンツが月額490円で見放題というアプリで、サービス開始から約3カ月半で会員数も50万人突破という人気ぶりだ。テレビドラマ『ホタルノヒカリ』やアニメ『はじめの一歩』などの配信もスタートしたが、エイベックスのアーティストとの関係は薄い。
また、マネジメント・ライヴ事業も公演の増加に伴うライヴ動員数が増えたことや関連ビジネスが好調だったことで、売上高は前年同期比で43.9%増となっている。
その結果、映像事業とマネジメント・ライヴ事業が、音楽事業その他の赤字を埋め、エイベックス全体としては当期純利益ベースで前年同期比約4000万円増の約9億円を計上することができた。
●a-nationは東方神起のリサイタル状態?
だが、ライヴ事業を支えているのは、韓流コンテンツの人気と見ていい。
8月31日と9月1日、エイベックス主催のスタジアムフェス「a-nation stadium fes.2013 powered by ウイダーinゼリー」の東京公演が味の素スタジアム(東京・調布)で開かれた。
31日のトリは東方神起で、1日の大トリは浜崎あゆみだ。東方神起は、その前週に行われた同フェス大阪公演でもトリを務めたが、大阪公演のもう1日のトリはEXILE TRIBEだった。
「客のほとんどは東方神起と韓流グループのSUPER JUNIOR狙い。他のアーティストの時は空席が目立った。チケットには(エイベックスのロゴマークカラーである)青い団扇がついていましたが、東方神起のTをかたどった赤い応援グッズがバカ売れしていて、彼らの登場と共に会場は赤一色になりましたが、両グループとも疲れが隠せない様子でした」(女性誌記者)
10曲近くを歌わされ、ほとんど彼らのリサイタル状態。9800円のチケットは、彼らのおかげで捌けたといっても過言ではないだろう。しかし、あまりにも多忙だったせいか、特に東方神起のチャンミンは疲労の色が濃く、何度もステージに上で倒れては、パフォーマンスでごまかしていた。
翌日のあゆは衣装を5回も着替えるなど、女王の威厳を保たせようと本人も周囲も必死だった。中盤ではファッションショーが行われ、道端アンジェリカなどが登場。お笑い芸人の渡辺直美と近藤春菜がサプライズで現れ、あゆの直前に登場した氣志團は「(みんなで)体を温めてあゆを迎えようぜ〜!」と、あゆ登場の盛り上げに必死。実際に盛り上がったが、前日の東方神起ほどの熱狂はなかったように感じた。
会場内に設置された浜崎のオフィシャルグッズを販売する「ayu readay? RAINBOW HOUSE mini」は2店とも、31日はガラガラ。浜崎本人がライブに出演する当日こそ賑わいを見せたが、並んでいるファンクラブ会員とおぼしき女性3人組からは、「なんか今回、チケットはずれた人が周りにひとりもいなかったよね」との声も聞こえた。
それでも彼女たちは、安くはないタオルなどのグッズを購入し、しっかり売り上げに貢献。その他の来場者もコラボ商品を購入したり、Food販売エリアで買い物を楽しんでいた。