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人材派遣業界、雇用の規制緩和期待上昇で競争激化〜優劣鮮明で新たな再編機運も

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リクルート ホールディングスHP」より
 8月下旬、東京株式市場でテンプホールディングス(HD)とパソナグループが上昇するなど、人材派遣関連株がにぎわった。パソナは「35歳以上を対象とした転職支援サービスを始める」と報じられたのがきっかけとなり、収益拡大の期待が高まった。5月末の株価水準と比較すると、日経平均株価がほぼ横ばいだったのに対し、パソナは25%、テンプHDは8%の値上がりとなった。

 11月11日の株価終値を見てみると、パソナが7万6600円、テンプHDは2817円。パソナの今年の安値は2月の4万3300円で、テンプHDの安値は1月の1047円なので、両銘柄とも大幅に上昇していることになる。

 秋以降、相場の中心になるのはアベノミクス第3の矢「成長戦略」関連であるといわれている。特に注目されるのは「雇用流動化」に向けた規制緩和である。成長産業への人材流動化を進めるために、参院選前には踏み込めなかった解雇規制の緩和が一気に進展する可能性が高くなっている。解雇が容易になる、規制緩和への期待から人材派遣銘柄が買われる構図だ。

 内閣府の規制改革会議の雇用部会は、「日雇い派遣」を解禁すべきだとの方針を打ち出した。違法派遣や派遣切りの横行で批判が高まり、民主党政権下で昨年改正された労働者派遣法で、原則禁止されたばかりである。

 厚生労働省の有識者研究会は、派遣を一業務で最長3年とする現行ルールの撤廃を求める報告書をまとめた。派遣業務の上限を、これまでの「業務」ごとにではなく「人」ごとに変更する。従来の仕組みでは前任の派遣社員が2年半働くと、後任は半年しか働けず、キャリアアップにつながらないとの指摘があった。「人」ごとなら後任も3年、働けるわけだ。

 雇用する側は、3年ごとに人は替わっても派遣社員を継続して雇用できるメリットは大きい。だから制度の見直しは大歓迎だ。しかし、正社員の仕事が派遣社員に取って代わられる可能性は否定できない。連合など正社員を主体とした労働組合は、労働者派遣法の大原則である「常用代替防止」が覆るとして反発している。派遣会社は雇用契約によって差をつける制度に変える。無期限の雇用契約を結べば、仕事内容にかかわらず、いつまでも同じ派遣先で働けるようになる。キャリアアップの制度を整えている派遣会社と、そうでない会社の違いが鮮明になる。派遣業界の再編が、一気に加速することになるだろう。

●再編続けた人材派遣業界の勢力図

 人材派遣業界は再編の歴史だった。リクルートがスタッフサービスHDを買収、テンプスタッフとピープルスタッフが経営統合してテンプHDを形成。インテリジェンスは学生援護会と合併してインテリジェンスHDとなった。ランスタッド(オランダ)はフジスタッフHDを買収した。ランスタッドはアデコ(スイス)、マンパワー(米国)と派遣業界の“世界3強”を形成している。

 今年4月にテンプHDがインテリジェンスHDを680億円で買収して、完全子会社した。派遣業国内首位はリクルートHDで2013年3月期決算の売上高1兆492億円のうち、派遣事業のそれは5471億円。2位のテンプHDは同2472億円、3位のパソナの同2076億円を大きく上回っている。テンプHDは4月に買収したインテリジェンスHD(売上高806億円)が加わるので、単純合算すると3278億円となり、3位のパソナを大きく引き離し、首位のリクルートを追撃する態勢が整う。

 リクルートHDが年内に新規上場すれば、時価総額1兆円の呼び声が高い。人材派遣会社は、規制緩和銘柄として期待が高まっている。
(文=編集部)