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「ダイヤモンド」vs.「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(11月第4週)

ガラケーユーザー、スマホへの買い替えは不要?端末間の機能差なくなり、低価格化進むスマホ

ガラケーユーザー、スマホへの買い替えは不要?端末間の機能差なくなり、低価格化進むスマホの画像1「Thinkstock」より
 「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/11月23日号)は『6000万ガラケーユーザーのスマホ選び』という特集を組んでいる。「全国のガラケー利用者に朗報! スマートフォンに買い替える絶好の機会がやってきた。機種もプランもより取り見取り。悩める人すべてにささげる賢いスマホ選び」という内容だ。

 同誌によれば、「実は日本のスマホ普及率は先進国のなかでそう高くない。公式統計はないが、まだ、4割とも5割ともいわれる。仮に国内の通信契約数1億0747万(2013年9月末現在、携帯IPベース)の4割とすると、全国のスマホユーザーはまだ4300万人。ガラケーと呼ばれる通常型の携帯電話を使う人は、まだ6400万人以上いることになる」という。

 今年9月、業界シェア最大のNTTドコモがついにアイフォーン販売に参入。ドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの3社すべてが「アイフォーン」という武器を手にした年末商戦を目前にしたスマホ選び入門特集というわけだ。

●使いやすさで選ぶならアイフォーン、ディスプレイの大きさはアンドロイド

 特集記事『ガラケーからの乗り換え完全マニュアル』では、初めてスマホを買う人に対し、ドコモが身銭を切るかたちで「実質ゼロ円」にして勝負しているアイフォーンを、大きいディスプレイを求めるユーザーにはアイフォーンより1サイズ大きな5インチが主流のアンドロイド端末を勧める。

 一方、KDDI(au)の新機種は5インチ級が多く、扱いやすい4インチ級がない。しかし、この冬商戦はLTEネットワークの充実で、「プラチナバンド」と呼ばれる周波数帯の800メガヘルツを押し出し、カバーエリアの広さ、つながりやすさ、通信速度を売りにしている(特集記事『アイフォーンユーザーに意外な優遇策も セット割が最強のau 小型スマホには不足感』)。

 そして、ソフトバンクは周波帯域のやりくりがきつきつで、周波数帯800メガヘルツのLTE基地局が圧倒的に多いauに流出が増える恐れがある。ソフトバンクの注目はむしろ、アンドロイド端末。「特にシャープはユニークな端末をソフトバンクに投入し、その後ドコモやauにも供給することが多い」という(特集記事『ソフトバンクはアイフォーンだけじゃない アンドロイド端末に意外な掘り出し物!』)。新機種でも、シャープの「AQUOS PHONE Xx」は左縁、右縁、さらには上縁までが非常に細く、端末表面のほとんどがディスプレイであるよう見え、ジャーナリスト陣も大絶賛する。

 ではどこへ乗り換えるべきかだが、「電波で携帯会社を選ぶのは疑問。差はすぐ縮まる程度のもの。ドコモに欲しい機種がなければ良い電波狙いでauに行く手はあるが、現状ラインナップに大差はない」(新機種を評価したITジャーナリスト)と、明確な答えがあるわけではない。

 特集記事では「いまや、大手3社が扱う端末の種類には差がなくなった。どのスマホを買っても失敗はない。今こそスマホに替えるチャンスだ!」というスタンスで、ガラケー優位の現状に乗り換えを促すのだが、そもそもガラケーユーザーは現状のスマホに魅力を感じていない。そのスマホに端末ごとの差がなくなったのであれば、これまで以上に乗り換えるインセンティブは働かなくなるのではないか。

 記事の中でITジャーナリストも「電池のもち、ボタンの押しやすさ、通信費の安さなどどこを取ってもガラケーのままという選択肢は十分にある。月々の負担が2000~3000円で済むことも多い」とガラケー礼賛コメントが掲載されているが、これこそ本質を突いたような意見に感じられてならない。

●アップル、サムスンを猛追するメーカーの登場

 東洋経済の先を行ったのが「日経ビジネス」(日経BP/11月18日号)の特集『スマホ第二幕 誰が拓く「iPhone」後の世界』だ。これ以上の進化が想像しがたい踊り場に差しかかっているスマホだが、世界では米・アップル、韓国・サムスン電子の2強体制を揺るがすサバイバル競争がすでに始まっている。

 記事では、サムスン電子は「50ドルスマホ」開発プロジェクトに乗り出しているという内幕に迫り、中国では中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」の公式アカウントなどコミュニティを通じて、1000万人近くの顧客を囲い込むスマホメーカー北京小米科技に注目が集まっているという。小米のCEOは新製品発表会にジーンズにポロシャツで登場し、「中国版スティーブ・ジョブズ」と呼ばれるほどだ。

 アフリカ・ルワンダでは、携帯電話会社が発行する通信用のSIMカードを2枚差し込むことができるテクノ社製「デュアルSIM」と呼ばれる端末が人気だ。

「発信先の携帯電話会社に応じて2つの電話番号を使い分けることで、通信料を格段に抑えることができる」という新しいビジネスモデルを提供しているのだ(特集記事『揺らぐ「2強体制」 勝者なきスマホ市場』)。

 メーカーごとの品質や機能の差がなくなり、誰でも参入できるようになると価格は下がり、利益率が落ち、汎用品と化す、これを「コモディティ化」と呼ぶが、スマホもコモディティ化し、新たなビジネスモデルを構築しなければ成功はおぼつかなくなっているというのが現状だ。

 世界を見渡せば、50ドルで「デュアルSIM」と呼ばれるスマホ端末が手に入る時代がすぐそこまでやってきているかも……そう考えると、ガラケーユーザーはスマホ年末商戦に踊らされずに済みそうだ。
(文=松井克明/CFP)

BusinessJournal編集部

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