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アベノミクスの隠れた阻害要因「規制」、問われる緩和への議論~建設、医療、介護…

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「Thinkstock」より
 東京都中央区の月島、晴海、江東区豊洲は高層マンションの建設ラッシュによって子供の人口が増え、一部の小学校では校舎増設も行われている。さらに、例えば晴海は2020年に開催が決定した東京五輪の選手村建設予定地でもあり、隣接する月島や豊洲含め建設業界のドル箱市場になりつつある。

 しかし、水面下では新たな問題が発生している。豊洲に移転する築地市場の工事業者が決まらないのだ。昨年11月に入札が不調に終わったため、東京都は工事費用を400億円増額した上に、参加資格要件を緩和して14年2月に再度入札を行なうことを公告した。ゼネコン関係者によると、事の発端はゼネコンの入札不参加表明であるという。

 「この規模の工事になるとゼネコンがジョイントベンチャーを組んで、工区ごとに業者が入札で決まるのだが、どの領域も大手でないと対応できない。築地市場の場合、工区が5つあるのだが、ゼネコンが決まったのは管理施設棟だけで、他の4区は決まっていない」

 巨大市場の建設という大規模な工事ともなれば、ゼネコン各社は積極的に受注に向けて動いてもおかしくはないと思われるが、なぜそのような事態が起こっているのか。同関係者はその背景についてこう続ける。

 「東北に東日本大震災関連の復興工事が目白押しな上に、海外でも稼げる案件が増えてきている。そのような今、もともと収益性が低いのに、有資格者の配置人数や業務手順などの細かい規制が多すぎる公共事業を、ゼネコン各社は受けたくないというスタンスになっている」

 同じ公共工事でも、補修工事では「前施工」の原則から、以前に施行したゼネコンが予算や業務手順などの決定において自社の意向を通しやすいが、新規工事は規制にがんじがらめになってしまうのだ。この関係者はさらに続ける。

 「行政は公共工事予算に応じて、ゼネコンを特Aランク、Aランク、Bランク、Cランクと認定しているため、特Aランクに辞退されたら、Aランク以下の業者に発注できる水準に工事規模を縮小するしかない。築地市場だけでなく、東京五輪関連の国立競技場や選手村などの目玉工事も、特Aランク業者にとっては、規制に縛られて儲けが薄い仕事だから、当初計画から相当な規模縮小になる公算が大きいのではないだろうか」

 政府が組んだ補正予算も、工事が計画通りに着工できなければ予算の執行不能という一大事に至ってしまう。光明が差してきたアベノミクスに対して、一部では規制が足を引っぱっているのだ。

●医療機関経営の支援に向けて

 こうした規制が経済・業界の足を引っ張る現象は、安倍晋三政権の成長戦略の目玉となっている医療・介護分野でもより顕著に見られる。

 例えば医療分野を見てみよう。昨年12月に閣議決定された14年度予算案において、診療報酬改定率は実質1.26%マイナスで6年ぶりのマイナス改定となった。2年に1度改定される診療報酬は、増え続ける社会保障費や消費税増税による国民負担を抑制するためにマイナス改定を余儀なくされたのだが、ある民間病院幹部は実情をこう説明する。

 「小泉純一郎政権下で診療報酬が引き下げられ、民間中小病院の経営はガタガタになり倒産が相次いだ。民主党政権で診療報酬が引き上げられて一服感があったが、また元の木阿弥に戻った感じだ。今後ますます経営が厳しくなるので、混合診療を解禁して、富裕層から高額な医療費をもらえるようにしないと中小病院の経営がもたなくなるだろう」