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JR、富士、日立…安倍政権の特定企業優遇に、与党内から批判も~税優遇、官民組織利用…

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安倍晋三首相(「首相官邸HP」より)
 安倍晋三首相が2013年2月、オバマ大統領とワシントンで会談した際に5000億円のギフトを申し出た。JR東海が米国に売り込んでいるワシントン-ボルティモア間(60km)の超電導リニア新幹線の総工事費1兆円の半分(5000億円)を、日本政府が国際協力銀行(JBIC)を通じて融資する。

 JR東海の葛西敬之会長は4月、代表権を持った名誉会長に就き、リニアの海外への売り込みに専念する。特別な任務を持った人の肩書が代表取締役名誉会長とは、実に不思議である。JBICは日本政府が100%出資している特殊銀行で、日本輸出入銀行(輸銀)を前身とする、政府と一体の金融機関である。資金調達の一環として外国為替特別会計から借り入れを行っており、外貨準備の運用機関として日本版ソブリン・ウエルス・ファンドといわれている。

 JBICは、日本企業の海外での現地生産・販売事業やインフラ事業に資金を融資するが、外国政府、外国政府機関等が実施する事業に必要な資金を融資することもある。しかし、JR東海のリニア・プロジェクトの米国への売り込みにJBICが融資することには、今後異論が出てくる可能性が高い。JBICの融資の原資は税金である。

 一方国内では、JR東海のリニア新幹線建設に関して、同社が土地を取得する際の税金をゼロにすることを安倍政権は決定した。13年11月29日、葛西会長が首相官邸を訪問し、リニア新幹線建設に必要な土地などの取得に関わる不動産取引税など2税を免除するよう、菅義偉・官房長官に直談判した。山田佳臣社長も同日、自民党の会合に出席して同じ要望をした。12月にまとまる14年度税制改正大綱にこの要求が盛り込まれるかどうかに永田町の関心が集まった。国土交通省は14年度税制改正要望でリニア建設に必要な土地と家屋の取得に伴う不動産取得税と登録免許税を非課税にするよう求めていた。そしてJR東海の要求通りになった。

 この2税は独立行政法人が建設主体となった従来の整備新幹線建設では非課税とされてきた。しかし、リニアは民間企業であるJR東海が建設主体だ。山田社長は「官なら(非課税は)いい、民間なら駄目というのはおかしい」と主張していた。自民党内には「従来の整備新幹線と同程度の税優遇なら容認すべきだ」との意見もあったが、民間企業のプロジェクトの税金を免除することについて、議論が十分になされたとはいえない。

 JR東海の試算だと、2税の支払額は東京-名古屋間が180億円、名古屋-大阪間が140億円で合計320億円に上る。リニア開業が脅威となる航空業界からは「特定の交通手段に国が税優遇するのは、いかがなものか」との声が上がる。「税優遇がJR東海という一企業にだけ行われること」の是非が、今後、問われることになる。民主党政権が日本航空(JAL)に税金を投入したことを批判してきた自民党運輸族が、JR東海の主張をすんなり受け入れるとなれば、その姿勢を問題視する声も上がりかねない。

●安倍首相を支える財界人

 こうした安倍政権による特定民間企業への優遇は、ほかにも見られる。例えば、富士フイルムホールディングス。同社はベトナムの主要病院から内視鏡を大量受注するが、これも安倍政権が成長戦略の柱に据える医療輸出の一環である。首都ハノイのバクマイ病院など主要10病院に納入する。機器は総額2億円台だが、内視鏡診断に使う記録フィルムなど消耗品で年間2000万円以上の売り上げが見込める。

 政府は20年に医療技術・サービスの世界市場で、現在の3倍に相当する1.5兆円を獲得する目標を掲げている。経済産業省は官民連携組織「メディカルエクセレンスジャパン」(MEJ)を13年8月に立ち上げ、富士フイルムのプロジェクトを支援してきた。富士フイルムの古森重隆会長はJR東海の葛西会長とともに安倍首相を支える財界人の一人だ。