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サムスン、日本を“大きく”超えた強さの秘密 地域専門家制度、驚異の宣伝方法

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サムスン電子本社(「Wikipedia」より/Roakr)
 みなさんはサムスン電子の業績をご存じだろうか。もちろん、名前は誰もが知っていると思うが、その実態まで詳しく知っている方は少ないと思う。最近はサムスンの不調を伝える報道もされているが、2013年通期の連結売上高は、228兆6900億ウォン(約22兆5000億円)、営業利益は36兆7900億ウォン(約3兆6000億円)となっており、成長鈍化はみられるものの、共に過去最高を更新している。 08年3月期に日本企業として過去最高の利益をたたき出したトヨタ自動車の営業利益は、約2兆5千億円となっており、この時のトヨタの数字さえも大きく超える規模となっている。また、日本の大手電機会社8社の時価総額を重ねてもサムスン電子1社に及ぶ数値にはならない。日本人としてはさびしい限りである。

株式時価総額:サムスン電子と日本電機8社の比較

 サムスンは決して昔から大きい企業だったわけではない。昔は日本企業に遠く及ばず、国内市場の規模の小ささから海外展開を必死で行ってきた企業である。それが今では、ソニーの約2倍(直近の4半期では3倍近い)の売上高となっており、時価総額に至っては約9倍という結果である。

 残念ながら、サムスンが成長を続けている間、日本企業は外部環境の変化を捉えきれず、語弊を恐れずに言えば徹底した努力を怠った結果、サムスンが一気にその市場を飲み込み、急成長したことがうかがい知れる。

 ごくごく一部ではあるがサムスンの“強さの秘密”を書きたいと思う。

 すでにご存じの方もいるかもしれないが、サムスンは1990年から「地域専門家制度」という人材育成制度を導入している。真の国際化を目指し、社員に海外の文化や習慣を習熟させて、その国の「プロ」となる人材を育てる目的で開始した制度といわれている。入社3年目以上、課長代理クラスの社員が対象で、毎年数百人を選抜し、サムスンの海外戦略に合わせるかたちでその地域へ人材を送り込んでいる。地域専門家は派遣先の国に1年間滞在するが、仕事の義務はなく、その国の言語や文化を学ぶため、自主的に計画を立て実行をする。 知人の話によると、一度退社するかたちを取り、家探しから日々の生活、語学学習、人脈づくりなどは一切会社を頼らず自力で行うらしい。その期間は、母国に帰ることはできず、単身でその国で生活することが求められているようだ(この辺りがいわゆる駐在や海外派遣とは違う)。サムスンは上記のように現地社会に社員を溶け込ませ、その国の文化や背景を理解した上でビジネスを展開することを考えていたのである。