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「残業代ゼロ法案」はどうなる? ブラック企業を容認する日本の労働制度

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※画像:『若者を殺し続ける ブラック企業の構造』(川村遼平/著、角川書店/刊)

 今、世間で話題になっている「残業代ゼロ法案」(日本型新裁量労働制)。これは、対象の条件を満たす労働者の残業手当をなくし、成果をベースにした報酬の支払いへの道を探るとして、 安倍政権によって推進されている政策です。その条件はもともと「年収1000万円以上」という議論がなされていましたが、先月には見直しが行われ、年収は問わず幹部候補の社員などに限定されるという報道が出ました。

 この法案によって、「残業代が支払われないのなら残業をやめよう」という風潮が生まれるか、それとも、「残業代が出ないにもかかわらず残業をさせられる」という事態がいっそう深刻化するか――。この二面性ゆえに、法案は賛否両論を巻き起こしています。

 『若者を殺し続ける ブラック企業の構造』(川村遼平/著、角川書店/刊)で著者は、これまで日本において「働きすぎ」を抑制してきたのは、唯一、残業代が発生することだったと主張し、「残業代ゼロ法」成立に対して警鐘を鳴らしています。

 「残業代ゼロ法」を理解するために、重要なのが、日本の法制度の現状を知ること。ここでは本書から抜粋して、いわゆる「サービス残業」を容認する日本の制度を取り上げたいと思います。

■「みなし労働時間制」


 会社側が残業代を支払わなくてもよい制度として代表的なのが、「みなし労働時間制」。これは、一言で言うと、実際の労働時間にかかわらず、ある一定の労働時間働いたものと「みなす」制度です。

 「みなし労働時間制」には一つの前提があります。それは、「本当は何時間働いたかあいまいである」ということ。例えば、外勤の営業職が外回りに行っている間、その社員が実際に働いているのか休憩をとっているのかを会社は把握することができません。これを理由に、勤務時間を一定時間と「みなし」て規定するのが「みなし労働時間制」です。

 しかし実態としては、労働者の勤務時間が「みなし労働時間」よりも長くなってしまうという違法状態も多く見られるといいます。

■「裁量労働制」


 上で挙げた「みなし労働時間制」は、少なくとも、事業場の外でなければ適用できません。これを事業場内に持ち込もうとするのが「裁量労働制」です。

 「裁量労働制」が導入された背景には、「労働時間によってではなく、仕事の質や成果によって処遇されるべきである」という考え方があります。本来は、例えばデザインのアイデアなどをお風呂の中で考えていた時間などに対しても、その時間が会社に貢献するものであるなら対価を支払うべきであるという趣旨のものでしたが、実際には、労働者に裁量を与えずに長時間働かせているケースも多いといいます。

■「管理監督者」


 労働基準法では、管理監督者と呼ばれる人々も、残業代の支払いの対象になりません。

 管理監督者は、「重要な労務内容」「重要な責任と権限」「労働時間の規制になじまないような勤務態様」「賃金などのふさわしい待遇」という4つの条件を満たす必要があります。