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JAL逆転のANA、さらなる攻勢 「食」の質向上で東京五輪に向けた顧客争奪戦に挑む

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ANAの日本酒選定会
 全日空(ANA)が国際線の旅客輸送実績で日本航空(JAL)を初めて上回ったことが話題となっている。運航する旅客輸送力の規模を示す「有効座席キロメートル」で4月に国際線でJALを追い越したのに続き、5月の輸送実績では、運賃を払った旅客数と飛行距離を掛け合わせて算出する「有償旅客キロメートル」でも初めてJALを上回ったのだ。5月のそれは、JALの29億1163万人キロメートル(前年同月比7.8%増)に対しANAは29億5294万人キロメートル(同25.4%増)だった。羽田空港に新増設した路線の伸びが貢献したものとみられる。羽田の発着枠増加を受け、ANAはこの春、羽田発着の国際線を従来の10路線13便から17路線23便に増やした。

 攻勢をかけるANAは、日本人顧客のみならず、訪日外国人顧客獲得に向けたサービス拡充にも力を入れている。その一環として、機内やラウンジで提供するワインや日本酒の選定に当たり、専門家も交えたセレクション、選定会を毎年実施している。

 昨年秋、都内のホテルで行われた「ANAワインセレクション2014」では、日本でただひとりのマスター・オブ・ワインのネッド・グッドウィン氏、ANAワインアドバイザーでシニアソムリエの井上勝仁氏をはじめ、CAソムリエら約30名が2日間にわたって、全世界から厳選した約280銘柄のワインをブラインドで試飲して採点し、絞り込んでいった。最終的に選ばれたワインが、今年3月から機内で提供されている。

●日本中の銘酒から、さらに厳選

 ワインだけではない。海外で人気の日本酒の銘柄選びにもANAは力を入れている。7月初旬、15年度に機内、ラウンジで提供する日本酒の選定会が、ANAケータリングサービス羽田工場内で行われた。選定基準は「日本のSAKE文化の発信」。会場には、国内外の著名シェフやANAシェフらで構成される「THE CONNOISSEURS」の太田和彦氏(日本酒評論家)をはじめ、サービス担当のANA社員ら約20名が集まった。

 国際線ファーストクラスからラウンジまで5つのカテゴリー別に行われた選定には、全国各地から最終エントリーされた約60種類の銘酒が並んだ。そのほとんどが、よほどの日本酒通でなければ知らないような蔵元の酒である。最終決定前なので銘柄名は明記できないが、国際線ファーストクラス提供用にエントリーされた銘柄の蔵元の所在地は、青森、秋田、宮城、栃木、埼玉、東京、石川、福井、愛知、和歌山、奈良、兵庫、山口、香川となっている。

 華やかな芳香が漂う場内で、1銘柄ごとに香りを確かめ、口に含んで味わう選定者たちは、真剣な表情で審査に当たっていた。第1部はオープン採点で、第2部は第1部の上位銘柄について選定者が意見を出し合う合議制で銘柄を絞り込んだ。女性メンバーからは「(この銘柄は)強めの甘い香りで、女性にも受け入れられやすい」といった意見も出ていた。

 限られた時間の中で、1カテゴリーで10種類以上の酒の吟味・審査をするのはプロでも難しい。選定終了後、太田氏は「真剣に味わうほど酔ってしまう」と感想を述べていた。この日は全部で約20銘柄が選ばれた。今後さらに検討を重ねた上で、最終的に11~12銘柄を決定、来年2月に発表される。