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世界ではじけるシェールガスバブル 日本勢軒並み損失、堅実・住商をのめり込ませた焦り

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住友商事本社が所在する晴海アイランド トリトンスクエア(「Wikipedia」より/Sekicho)
 9月30日の東京株式市場を激震が襲った。日経平均株価が前日比137円安の1万6174円まで反落し、取引時間中は下げ幅が250円を超える場面もあった。震源は住友商事が前日に発表した巨額の減損損失計上だった。このショックで同社株は一時1195円まで下落し、2月に付けた年初来安値1180円に迫った。これに誘発されて丸紅株が4%安、伊藤忠商事株と三菱商事株が3%安となるなど、総合商社株は軒並み売り一色になる余震も続き、市場は終日揺れ続けた。住商株の終値は、前日比12.1%安の1211円だった。

 9月29日、住商は「海外の資源・エネルギー開発事業で投資回収が見込めなくなり、15年3月期の連結決算で減損損失2700億円を計上する。最終利益予想も2500億円から100億円へと、2400億円の下方修正をする」との発表。損失計上は、米国のシェールオイル開発、豪州の石炭開発、ブラジルの鉄鉱石開発、米国のタイヤ小売事業と4事業にもわたっており、このうち資源・エネルギー開発分野で2500億円もの損失を出している。

 中でも最大の損失が、米テキサス州のシェールオイル開発の1700億円だ。これは2年前の12年9月に13億6500万ドルを投資し、米独立系石油開発会社のデボン・エナジー(オクラホマ州)社保有のシェールガス・オイル田の一部権益を取得した案件。権益取得後に試掘した結果、「ガス・オイルの採掘が難しく、投下資金を回収できる生産量が見込めないと判断した」(住商)という。

 これら3件の資源・エネルギー開発は、いずれも過去2―4年内に投資したばかりの案件であり、短期間で損失処理に追い込まれる計画の甘さだった。住商の資源・エネルギー開発事業に対しては、かねてから商社業界内で事業計画や投資リスク管理の甘さを指摘する声が上がっていたが、不幸にしてこの指摘が証明される格好となった。業界関係者は「同社の資源・エネルギー開発事業は、総合商社の中で相対的に遅れている。その遅れを取り戻そうとの焦りが、開発ブームのシェールガス・オイルにのめり込ませた」と指摘する。

 今回の住商の事業失敗について、伊藤忠関係者は「堅実経営の住商が、まさかシェールで」と驚きを隠さない。その伊藤忠も米シェールガス開発事業では、14年3月期に今回の住商と同様の理由で290億円の損失を計上している。三井物産も同期にシェールガス生産量の減少により325億円の減益を計上している。総合商社だけではない。大阪ガスもシェールガス開発に失敗したとして、同期に290億円の特別損失を計上している。つまり米シェールガス・オイル開発事業に投資した日本企業は、同事業で軒並み失敗しているのだが、損失が突出しているところに住商の特殊事情がうかがわれる。

●石油メジャーも二の足


「現代のゴールドラッシュ」といわれるシェールガス・オイル開発は、地下2000―3000メートルに分布している頁岩層から採掘するため、もともと有望田か否かの判断や埋蔵量の予測が難しい。このため、開発に失敗しているのは日本勢だけではない。例えば、石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェルが13年10月に240億ドルを投資した米シェールガス開発事業も失敗と推測されている。