ビジネスジャーナル > 企業ニュース > シェールガス日本企業軒並み損失  > 2ページ目
NEW

世界ではじけるシェールガスバブル 日本勢軒並み損失、堅実・住商をのめり込ませた焦り

文=福井晋/フリーライター
【この記事のキーワード】, ,

 エネルギー政策のシンクタンク関係者は「2000年初頭に米国で『シェールガス革命』が起きたが、その熱は数年前に冷えている。そんな事業に新規参入した日本企業勢が米国の石油開発ベンチャーに不良鉱区をつかまされて失敗するのは当然」と指摘、その理由を次のように説明する。

 日本では、シェールガスは在来型天然ガスより安いといわれているが、実際は違う。成分は在来型天然ガスと同じだが、掘削が困難なため採算性が悪く、石油メジャーですら大半が開発に関心を示さなかった。
 
 しかし、シェールガス革命ともてはやされ始めると、米国の石油開発ベンチャーが投資家から資金をかき集め、開発競争に走った。その結果、米国の天然ガスは大幅な供給過剰となり、ガス指標価格のヘンリー・ハブ価格が12.17ドル(08年6月現在)から2.68ドル(12年5月現在)に暴落した。それが日本では「シェールガスは安い」と映り、特に総合商社の間でシェールガス開発権益獲得熱が高まった。

 シェールガスの商用開発が始まって8年。この間の採掘経験により、今ではシェールガス産出量の減少が在来型ガスのそれより早い事実も明らかになっている。具体的には、シェールガス産出量は採掘開始から3年で75%以上減少するのが一般的。したがって、計画量のガスを採掘するためには次々と新しい井戸を掘削し続けなければならず、典型的な自転車操業になっており、米国全体で12年に420億ドルもの掘削コストがかかったとみられている。一方、米国全体で産出されるシェールガス売上高は325億ドル。差し引き年間100億ドルもの赤字経営を強いられている計算だ。

 そのため、シェールガス・オイル開発事業のリスクを警告するレポートが、数年前からエネルギー関連の各種研究機関や専門家により何度も発表されている。

●住商の焦り

 商社業界各社の特徴を表す、次のような喩え話がある。

「川を渡る時、三菱は財力にものを言わせて鉄橋を架ける。三井はスマートにヘリコプターをチャーターする。伊藤忠は気合だと泳いで渡る。住友は三菱が架けた鉄橋の安全度を確かめてから渡る」

 業界関係者は「堅実経営の住商が、伊藤忠も後じさりするほどの気魄で取り組んでいたのがシェールガス開発だった」と振り返るが、住商はなぜそこまで入れ込んだのか。

世界ではじけるシェールガスバブル 日本勢軒並み損失、堅実・住商をのめり込ませた焦りのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!