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大手電機社長たちに異変 「明るさ」を取り戻した素顔、業績回復と攻めの経営鮮明に

文=長田貴仁/神戸大学経済経営研究所リサーチフェロー、岡山商科大学教授
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 16年度に向けた中期経営計画について、田中社長は次のように語っている。

「私が最も重視しているポイントは、財務規律の重視、オーガニックな成長、収益性の向上です。成長事業においては競争力の持続に必要な資源投入を継続的に行いますが、その実行に当たっては財務体質の強化を優先します。中期経営計画中の設備投資・投融資は、あらかじめ計画している1兆5000億円の枠内で実施します。他社との提携や事業買収についても、ヘルスケア、ストレージ、エネルギーを中心に計画の枠内で行う考えですが、特に事業買収については既存事業とのシナジーによって高い収益をあげることで、財務基盤の強化にもつながる案件に厳選する方針です」

 この計画を達成した後、田中社長は本格的なM&Aを仕掛ける腹づもりだ。

「買いたい会社がいっぱいありますが、今は品定めしているところ」

 東芝といえば、財界の顔を輩出してきた会社である。石坂泰三氏、土光敏夫氏といった元社長が経団連会長を務めた。岡村正元社長は前日本商工会議所会頭だった。西田氏も経団連会長候補になったことがある。こうした伝統からすれば、田中社長は「タレント性」という点でやや地味に見える。しかし、雰囲気と経営力が異なるのは世の常である。競争の激しい半導体畑を歩んできた室町正志会長はいう。

「今はプロの経営者(専門経営者)の時代と言われますが、日本企業にはそのようなアメリカ型の経営者はまだ少ない。生え抜きのサラリーマン経営者が大企業では主流。ただ、情報量が格段に増えるなど、昔の経営者とは大きく環境が異なります。サラリーマン社長の成果が問われています。この形がいいのかどうかは、歴史が証明することでしょう」

●懇談会をやめたソニー

 このように、1時間半から2時間の「立ち話」でも、かなり突っ込んだ会話が懇談会で行われている。単なる懇談、懇親の場ではない。経営者が壇上から発表・プレゼンした後に質疑応答に移る記者(アナリスト)会見でフォーマルなやりとりが行われる。それとは異なり懇談会では、経営者は「本当はこう考えているんだ」と細かな説明をする機会が生まれ、形式ばった場では決して見せることのない表情や感情を交えた会話の中から「人間らしさ」を披露できる。聞き手の側も「あの事実はそうだったのか」と理解を深め、「意外とざっくばらんな人なんだ」と、これまで知ることができなかった性格の一面を垣間見ることができる。そういうことで、企業にとって「懇談会」はバカにできないものだ。

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