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広告表記のない広告記事は、なぜ排除される?「ステマ=違法ではない」と弁護士が指摘

文=関田真也/フリーライター・エディター

広告表記のない広告記事は、なぜ排除される?「ステマ=違法ではない」と弁護士が指摘の画像1「Thinkstock」より
 日本最大級のポータルサイト「Yahoo!JAPAN」を運営するヤフーが7月30日、「Yahoo!ニュース オフィシャルスタッフブログ」で掲載した、『編集コンテンツと誤認させて広告を届ける行為(ステルスマーケティング、いわゆるステマ)に対する考え』と題する記事が話題となっている。

 同記事では、編集コンテンツと誤認させる広告記事は、「記事内容に対する信頼が損なわれるだけでなく、読者、広告主様との信頼関係をも損ない、ひいては『Yahoo!ニュース』が長年かけて構築してきたサービスそのものへの信頼を大きく揺るがす重大な問題」と深い懸念を表明している。

 ステマとは、消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為を行うことをいう。つまり、広告表記がないタイアップ記事も、読者は純粋な編集記事と思いながら読み進めるであろうことから、ステマの一種には違いない。こうした記事を「Yahoo!ニュース」に配信していたメディアが契約を解除されることは、事前に契約で同意していた内容に双方が従っただけであり、なんの問題もないだろう。

広告表記がないタイアップ記事は優良誤認?

 ところで、このヤフーの声明の中で気になる点がある。それは、広告表記がないタイアップ記事を、「優良誤認として景品表示法違反に問われる可能性もある悪質な行為」と指摘していることだ。果たして、広告表記がないという理由だけで、タイアップ記事は景品表示法上の優良誤認に当たるのだろうか。

 優良誤認表示と認められるためには、「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対して、実際のものよりも著しく優良であると示す」、または「事実に相違して競争関係にある事業者のものよりも著しく優良であると示す」、このうちのいずれかであることが必要になる。さらに、これによって「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある」といえることも要件とされている(景品表示法4条1項1号)。

 インターネットの消費者問題に詳しい多田猛弁護士は、次のように説明する。

「景品表示法の『商品又は役務の品質、規格その他の内容について』という文言からもわかる通り、違法の有無はコンテンツとしての宣伝の内容で決まります。広告表記がないタイアップ記事の場合に重要なのは、記事の中で宣伝されている商品やサービス自体が優れていると著しく誇張することです。『著しく』という文言が表すように、少し誇張した程度では違法になりません。これは、『社会一般に許容される限度を超えて』優良であると示しているかどうかが判断基準となります」

 広告表記のないタイアップ記事は、本来ならばメディアで好意的に取り上げられない商品やサービスが、金銭のやり取りによって編集記事のように紹介される機会を得ていると考えることもできるが、これに当たるのだろうか?

「景品表示法は、『実際は広告であるにもかかわらず、通常の編集記事であるように消費者に誤認させること』を優良誤認表示と定義しているわけではありません。そうすると、タイアップ記事に広告表記がないことだけを理由に、景品表示法の優良誤認に当てはまるとはいえないということになるでしょう」(同)

そもそも優良誤認の定義は?

 消費者庁が公表した「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」では、インターネット上のステマが優良誤認表示に当たる例として、「口コミサイトなどで、その商品やサービスに対する好意的な評価がさほど多くないにもかかわらず、その品質などについて、『あたかも一般消費者の多数から好意的評価を受けているかのように表示させること』」を挙げてしている。

 つまり、もともとの評価が低いものを、人為的に不自然なかたちで持ち上げ、適正な評価を積極的に歪める行為を想定しているといえる。消費者庁の表示対策課に確認したところ、やはり「記事広告が優良誤認に当たるか否かは内容の問題であり、それは広告と表記されていてもいなくても変わりはない」という回答を得た。

「ヤフーが発表した記事は、趣旨として『広告表記がないタイアップ記事』であること自体が景品表示法違反に該当するかのように読めるという意味で、少々誤解を招く可能性があります。広告記事であっても、編集者によって編集される記事には違いありませんから、編集者としての表現の自由は一定程度保障されるべきです。つまり、広告表記の有無が違法性の判断材料ではありません。誤解されて表現の自由・広告の自由が萎縮してしまわないか、懸念されます」(同)

 一方で、多田弁護士は「今回の声明は、読者の信頼を損なうような悪質なステマを排除し、撲滅することを宣言したという点では、企業が行う消費者保護の方針として、あるべき方向性を示した」として、ヤフーの姿勢を評価した上で「有害なステマの排除は、新たな立法措置によって講じられるべきで、それがなされない間は、自主規制や事業者間の契約で拘束していくことになるでしょう」と述べる。

 業界全体でステマ撲滅に向けた動きは活発化しており、広告表記のないタイアップ記事は今後なくなっていくと思われるが、法律論として、景品表示法の優良誤認として「違法」といえるかどうかは、また別の話だということを覚えておきたい。
(文=関田真也/フリーライター・エディター)

【取材協力】
弁護士 多田猛

弁護士法人Next 代表弁護士。第二東京弁護士会子どもの権利に関する委員会 委員、ロースクールと法曹の未来を創る会 事務局次長など。ベンチャー企業・中小企業を中心とした企業法務、子ども・家庭の法律問題をはじめ、幅広い分野で活躍。
事務所URL:http://next-law.or.jp/

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