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鳥貴族、奇跡の経営 なぜ激安でも本物の味?高コストでも質追求、コストダウン徹底…

文=福井晋/フリーライター
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激安でも高収益

 鳥貴族関係者は「人気だからと始めたのではなく、均一低価格は1980年代後半の創業期からブレずに守ってきた価格政策。それと何よりも品質と味を守り続けてきた。それが今の当社の強みになっている」と胸を張る。

 業界関係者は、客離れがしない鳥貴族の強みは基本的に2つだと、次のように分析する。

 1つ目は、総合居酒屋が追随できない食材品質の高さ。鶏肉は、モンテローザの「山内農場」やエー・ピーカンパニーの「塚田農場」のような地鶏を使っているわけではない。どこにでもある大量飼育のブロイラーだ。ただし、良質の国産鶏肉に限定して調達し、店舗での串打ちにこだわっている。

 鶏肉は牛肉、豚肉より鮮度劣化が早い。総合居酒屋の焼き鳥は輸入ブロイラーをセントラルキッチンで加工するケースが大半だが、これだと串打ちから鳥を焼くまで丸1日かかる上、店舗の冷蔵庫で保存する時間も長いので鮮度を保てない。対して鳥貴族は二毛作のランチ営業は行わず、昼から夜の営業前まで約5時間かけて店舗で1本1本串打ちを行っている。

 タレも総合居酒屋のようにメーカーの業務用タレを使わない。メーカーの業務用タレは鶏エキス、タマネギ・ニンジンの粉末、保存料などを使用しているので、安いし日持ちはするが旨みが落ちやすい。対して鳥貴族は自社の食品加工工場で丸ごとの鶏肉を生鮮野菜・果物と一緒にじっくりと煮込んだ自然な旨みのある自家製タレを製造、それを店舗に即日配送している。

 国産鶏肉の店舗串打ちと自家製タレ。この食材品質の高さが安さだけではない武器となり、固定客の確保につながっている。

 2つ目は、低い家賃コスト。総合居酒屋や有名焼き鳥店は駅前や繁華街中心の一等地に出店するケースが大半。だが鳥貴族は一等地ではなく、そこから離れたビルの地下や2階に出店する。このため、売り上げに占める家賃比率は総合居酒屋の半分程度。店舗面積も約40坪、席数約70席と総合居酒屋の半分程度。これにより客の平均滞在時間2時間弱の高回転率を可能にしている。小型店に出店を絞ることでタッチパネル式注文ではなく、店員が客から直接注文を受け、その際にメニューの説明をするなどで顧客満足度を高めている。

 この低い家賃比率、固定客の多さ、高回転率などにより、平均客単価約2000円と総合居酒屋の70%程度の客単価でありながら、店舗段階の営業利益率20%の高収益を確保している。

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