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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

なぜテレビドラマは没落したのか?「嘘」に気が萎える視聴者たち

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「Thinkstock」より
 『101回目のプロポーズ』『東京ラブストーリー』『ロングバケーション』(すべてフジテレビ系)などの連続テレビドラマが社会現象になるほどの爆発的な人気を博したのも今は昔。近年では『半沢直樹』(TBS系)の最終回平均視聴率が42.2%(関東地区)を記録した例はあるが、ビデオリサーチ調べによると、今年の民放各社の連ドラ平均視聴率は8.9%で、10年前の14.2%から大幅な減少傾向。NHK大河ドラマ『花燃ゆ』など、低視聴率が注目される作品も少なくはなく、今夏には『HEAT』『恋仲』(ともにフジテレビ系)などが不振を極め話題になったほどだ。

 なぜ、かつては若者の憧れを喚起し人気を博した連ドラは、苦戦を強いられているのだろうか。立教大学経営学部教授・有馬賢治氏は語る。

「脚本や演出面での問題を指摘する声が多いですが、マーケティングの観点から分析すると、苦戦の理由は他にもあると思われます。原因の一つであるインターネットをはじめとするコンテンツ・メディアの多様化はもちろん大きいのですが、話題を提供する気軽なメディアとしてのテレビの影響力はまだまだ根強いでしょう。その証拠に、多くのドラマで初回の視聴率が2話以降に比べて高いという傾向はありますし、視聴者が一概にテレビドラマ自体を見捨てているとはいえないはずです」

 では、なぜ平均視聴率は極端に落ち込んでしまうのだろうか。

「マーケティングの観点では、テレビ局はドラマなどの番組を、視聴者に『サービス財』(無形の商品)として提供していると捉えます。この前提で考えますと、テレビ局は『視聴者=消費者』が抱くサービス財に対する認識方法を理解し、無形という独自の特徴を踏まえたマーケティングが必要なのです。それが、最近のドラマにはできていないのではないでしょうか」

 つまりテレビで放送される作品や情報も、ホテルやレストランなどで提供されるサービスと同じ、というのがマーケティング的な考え方。その対にあるのが、「物財」という製品に当たるものだという。

「『物財』は、多少商品に不満があっても許容できる場合が多いです。例えば掃除機などの電化製品などでも、やや騒音などの問題があっても吸引力といったメインの機能に満足していれば、わざわざ買い替えるようなことはしないと思います。しかし、サービスは提供される要素を一塊のものとして消費者は認識します。例えば、どんなに客室がきれいなホテルでも、スタッフの接客が横柄であったり、料理がおいしくなかったりすればお客さんは興ざめしてしまい、同じホテルにもう一度泊まろうとは思わないでしょう。ドラマも同様に、キャスト、脚本、音楽はもちろん、時代考証や設定のリアリティを含めた全体的なバランスが重要です。しかし、それが不十分だと視聴者に『作り物』という感覚を悟られてしまい、作品からの興味が離れてしまっているのではと感じます」