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神樹兵輔「『縮小ニッポン国』のサバイバル突破思考!」

なぜ日歯連は事件を繰り返すのか?年間約6百億の献金・助成金を浪費する国会議員

文=神樹兵輔/マネーコンサルタント
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 ちなみに日本の医療費全体は2000年の約30兆円から、14年に約40兆円にまで増えたにもかかわらず、歯科医療費に限っては2兆5000億円から2兆7000億円程度とほとんど増えていないのです。つまり、ここに日歯連の焦りが見て取れます。自前の候補を何がなんでも政界に送り込み、診療報酬アップのために日歯連では参議院だけでなく衆議院にも推薦候補を擁立して送り込んでいます。

飽和状態の歯科業界

 ところで、厚労省のデータによれば、全国のさまざまな診療科目の一般診療所は10万カ所程度ですが、なんと歯科診療所数は約6万8000カ所もあるのです。厚労省のいい加減な政策で歯科医師数を増やしてきたせいもあり、今ではコンビニの約5万3000店より歯医者さんの診療所のほうが多くなっている状況なのです。歯科医師は勤務医にならずに7割が独立開業するためです。

 結果として患者の奪い合いが激しくなり、今では歯科医の4人に1人が年収300万円ともいわれる時代になっています。30年近く前のバブル時代に大儲けで脱税やり放題だった歯科界も、文字通り「視界」が180度変わったのです。

 公立で約600万円、私立で約5000万円に上る歯科大学6年間の費用の元も取れず、独立開業するだけでも診療機器やテナント取得費用で3000万円以上かかりますから、費用の回収もままならない状況です。実際、夜逃げや失踪、借金苦で自殺する歯科医もいるというのが現状なのです。
 
 しかし、だからといって金の力で特定の団体や企業がヒモ付き議員を政界に送り込み、政治の力で行政を捻じ曲げるという行為が許されてよいわけがありません。

 1988年のリクルート事件などの反省を踏まえ、95年の小選挙区制導入と同時に始まった政党助成金(政党交付金)制度は、赤ちゃんからお年寄りまで1人当たり250円相当の税金を政党に配るというものです(年間総額約320億円)。政治とカネの歪んだ関係を正そうとして生まれた制度だったのです。

 この導入時の約束には、「企業・労働組合・団体」からの政治献金をやめることと引き換えにするということがありました。にもかかわらず、そちらは反故にされたのです。 

 前述した通り、政治家個人への企業・団体からの政治献金だけは名目上禁じて、政党や政党支部には当面許されるという欺瞞的構図が、結局のところ政治家個人が代表の政党支部に金が流れ込むという現在の状況を招いているわけです。

企業・団体献金は「賄賂」

 企業や団体などの政治献金は、しょせん「賄賂」にすぎません。企業の場合なら、なんの見返りもないのに特定政党に献金する行為は、下手をすれば株主代表訴訟や背任の対象になりかねません。ゆえに、役員などの個人献金に偽装して政治家との癒着を図ったりするのです。また、国から補助金を受けている企業や団体からの献金が問題になるのも、税金の還流にほかならないからです。

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