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輸入食品の検査率、わずか8.8%の衝撃 残留農薬等の危険な食品輸入増は必至

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 現在、輸入食品検査に携わる食品衛生監視員の全国配置人員は、わずか406人である。それもここ数年は、399人に据え置かれていた。また、検査センターは横浜と神戸の2カ所に集中しているが、横浜検疫所輸入食品・検疫検査センターは第1種住宅地域にあるので、増設も改築もできない状況のなかで、検査機器が立錐の余地もなく配置され、前処理工程も狭い机の上で処理するために、食品安全の専門家もコンタミ汚染の危険があると指摘するぐらいの状況である。

 抜本的な対策がないまま、これ以上検査件数を増やすことは不可能である。さらに、配置されている食品衛生監視員は休日出勤も常態化するなど厳しい労働環境であるだけでなく、妊娠出産を控える正規職員にとっても重圧がかかっており、監視員からは「TPP批准による影響が怖い」との声も出ている。

 食品衛生監視員の労働環境が守られなければ、輸入食品検査体制の強化どころか、健康を害する職員の続出で検査体制の弱体化に追い込まれかねない。
 
 では、なぜ厚労省は輸入食品検査体制の抜本的強化に取り組めないのか。その足かせになっているのが、国家公務員の総定員法である。食品衛生監視員を増員すると、それに見合う同省内の公務員を削減しなければならないのである。同省内のパワーバランスの中で、監視員の大幅増員に踏み切れないのである。

 しかし、自衛隊員は、国家公務員総定員法の対象外になっている。輸入食品検査に携わる食品衛生監視員も国民の健康と生命を守っているのであり、国家公務員総定員法の対象外にすべきである。

 政府はTPPで食の安全は守られたというが、輸入食品の水際の検査体制が破綻寸前のなかで、残留農薬や残留抗生物質、残留合成ホルモン剤が混入した輸入食品が大手を振って無検査で輸入され、国民の食卓に上がっていく危険性が高まっている。
(文=小倉正行/フリーライター)